読者投稿30代前半の男性
知人の30代男性から聞いた、ちょっと切ない体験談をご紹介しよう。
私が出会い系サイトで初めて付き合った女性は、同い年の人妻だった。
彼女はごく普通の人だったが、私は「出会い系は怖い」という気持ちがどうしても拭えなかった。
そのため、初対面のときに偽名を使ってしまった。
彼女が本名を名乗っていたのを知ったのは、それからもっと後のことだった。
お互いに付き合っていく中で、色々な話をしてどんどん距離が縮まっていった。
「いつか本当の名前を言わなくては…」と思っていたが、「嫌われたくない」、「今さらいいだろう」という気持ちが先行して、言えないまま時間だけが過ぎていった。
せめて名前以外は、できるだけ正直に自分のことを話した。
当時、私は国家試験の勉強をしていて、彼女も応援してくれていた。
試験が終わって発表当日を迎え、無事に合格を確認できた。
今までの努力が報われ、長い受験生活がやっと終わった瞬間だった。
その夜は、彼女と合格祝いをすることになっていた。
「合格したよ!」と伝えると、彼女は涙目になって絞り出すように「おめでとう」と言った。
それに続けて、彼女はこう言った。
「実は…ネットで官報の国家試験の合格者名簿を見たんだ。
何度もあなたの名前を探したけど、見つけられなかった…。
でも、良かったね」
そのとき、私はすべてを悟った。
心配してくれた彼女は、官報(国の広報紙)に記載されてある国家試験の合格者名簿を見て、私の名前を必死に探したのだ…。
そこにあるはずのない、偽りの名前を。
自分の愚かさ、短慮さを悔いても遅かった。
なぜ、彼女に正直に言えなかったのか?
せめて、何か別の方法で彼女に伝えることはできなかったのか?
「嫌われたくない」という小心が、「別にいいか」という驕りが、大切な人の心を傷つけ、信用を失ってしまったのだ。
奇しくもそれまでの人生の中で、私の名前が公になったのはこの1日だけである。
当時を思い出すと、今でも胸が締め付けられるような苦い想い出です。
【出会い系サイト】偽りの代償
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