俺の知人の30代男性から聞いた、『SNS』での出会い体験談。
とにかく彼は、行動力がスゴかった!!(笑)
前編
今から2年前の4月の終わり。
ひょんなことから、俺は北の大地、北海道の地を踏みしめることになった。
札幌市内は、4月でもところどころ雪が残っており、金沢から春めいた軽装で向かった俺にとっては、少し肌寒かった。
今回の目的は…顔も名前も知らない、GREEで知り合った女の子に会いに行くこと!(笑)
その娘は、札幌からバスで3時間ほど離れた、とある街の割烹で働いている。
そこはランチもやってるお店で、朝から晩まで忙しいとのこと。
彼女は、長年の夢を叶えて念願のお店を構えた、若女将だった。
GREEの中で一緒にゲームをやりながら、「どうしたらいいんだろう?」とか、「このアイテムあげるね」なんて会話をしてた。
最初はゲームの話ばかりだったのに、「直接会っていろいろ話したいね」とお互いに意識するようになるまで、1ヶ月もかからなかったと思う。
でも、俺は金沢で彼女は北海道。
彼女は店を持って忙しい時期だったし、俺もちょうど新しいプロジェクトがあり、時間も距離にも大きな壁というか障害があった。
直接会うってことはお互いに全く想定してなかったと思うし、考えることもできなかった。
何がそうさせたのかは記憶が曖昧だけど、「今しかない!」みたいな思いはあったかな。
まとまった時間が取れるようになったのは、4月の終わりのゴールデンウィーク前の土日。
ふと飛行機を予約して、とにかく金沢を発った。
「後先を考えてない」っていうのは、本当このことかもしれない(笑)
数時間後、北の大地に立つ俺がいるわけだが、この時点で彼女はまだ知らない。
俺が同じ大地に立っていることを…。
事前のやり取りの中で、土日に店にいるようなことは聞いていた。
「もうすぐ彼女に会える」という胸が踊るような気持ちの一方で、心から分かり合った者同士だという確信が持てなかった。
直接会うことによって、これまでの関係が崩れ、全て失ってしまうんじゃないかという思いがあった。
そんな複雑な心境のまま、しばらく一人で考えこんだ。
「今さら何を考えてもしょーがない。ここまで来たからには行くしかないんや!」
そう自分に言い聞かせて、ここで初めて彼女にメールした。
「今から行くわ!」
「また、いつもそんなこと言ってばかり…」
「サプライズ!今、札幌!!ほんまに会いに行くよ♪」
「うそでしょ?」
「いやー、マジで来てもた…」
「えーっ、ほんとにー!?」
「自分もいまだに冗談かと思ってる…。でも、マジでこっちにおるわー」
「うそっ!△?□※△?」
みたいなやり取りをメールでしたと思う。笑
そして数時間後には、彼女の住む○○行きのバスに乗車した。
そこには、期待と不安が入り混じった俺の姿があった。
後編
○○行きのバスの中で、北海道の雄大な自然を目の当たりにしながら、目的地に近づくにつれ、高鳴る鼓動も不思議と落ち着いてきた。
予定通り3時間後、バスはその地に静かに到着した。
彼女が住む街は、札幌市内の喧騒が嘘のようにのんびりとしていて、空気もおいしかった。
ずいぶん前に北島さぶちゃんが、「はーるばる来たぜーっ○○へー♪」とCMで唄っていたっけ。
そんな懐かしい歌が口からこぼれ出るくらい、気持ちもほどよく抑揚していた。
その店は、街に似つかわしくない雰囲気で佇んでおり、遠くからでもひと目でわかった。
ある有名なデザイナーが設計しただけあって、和とモダンが融合し、なにか幾何学的な感じのする変わった造りだった。
店に到着するまでに色々なシチュエーションを想像していたが、1番自然で彼女の負担にならないのは、通りすがりの旅人のようにお客として店に入り、食事してさりげなく帰るということ。
サプライズでありながら自然な感じで、「まさに俺流かな」ってひとり笑い・・・(笑)
そうこうしているうちに、店の扉を静かに開ける自分がいた。
いよいよ初対面…。
「いらっしゃいませー♪」
目の前に飛び込んでくるのは、3人の女子、女子、女子。
(げっ、どの娘だろう??)
みんな満面の笑顔。
(直感的にはこの娘かな…)
俺は若女将は他の店員とは違った出で立ちで、着物でも着てるんだろうなって勝手に思っていたけど、みんな同じ格好じゃないかー!!
3人は落ち着いた紺をもっと渋くしたような、作務衣みたいな格好をしていた。
店員A「ご予約の方ですか?」
「いや、予約はしてない・・・」
店員B「こちらどーぞ!」
そう言われ、奥の通路へ案内されそうになる。
「あ、私行くわ」みたいな感じで、店員Aに代わって個室に通される俺。
(おっ、この娘が若女将なんだな…とプチ確信!)
店員A「さ、こちらへどうぞ」
部屋まで案内されたが、そのまま何も言わずに立ち去る店員A。
(ん?違ったか?!)
次に店員Cが元気よく「どーぞ!」と、わりとすぐにお茶を持ってきた。
(ん?初登場!!この娘だったのか)
「お決まりの頃にまた伺います」
この娘もまた無言で立ち去る。
(違う、違う)
一人になった瞬間、顔を思い出しながらパニクってる頭の中を整理する。
しばらくして店員Bがくる。
「お決まりですか?」
「オススメはありますか?初めて来たんで、どれがいいのかも分からないんで…」
「こちらにランチメニューがありますよ。これとこれが人気があります」と笑顔で説明してくれた。
(表情や話し方で、この娘で間違いないだろう。俺も笑顔で…)
「じゃあ、これお願いします。あ、それと生ひとつ♪」
「はい!ありがとうございます」
「だよね?そうだよね!!笑」
「はい?何か…?」
しばらく沈黙が続く…。
「いや、なんでもない…」と何か中途半端な感じで会話を終える。
(マジかー、違ったのか…)
ちょっとした懐石のコースだったんで、先付けみたいなものがすぐに出てきた。
「お料理です」と再び店員B。
モノだけ置いて、そのまま立ち去る。
(んー、全くわからん!)
やきもきしながら、携帯を取り出してメールする。
「ごめん!若女将のこと見ればすぐわかるって言ってたけど、マジわからん!」
「あと、鼻水が止まらないんでティッシュ欲しい…」
寒さにやられて鼻水が出てた。
すぐに、「ティッシュお持ちしましたー」と笑顔で店員Aがきた。
俺は、「は…はじめまして…」と変な汗をかきながら言う。
「全然、わからなかったくせに…」
「すぐ俺ってわかった?」
「すぐわかったよ!」
「俺も最初、Aが若女将だと思ったんだけど、何も言わないから・・・」
初めて会うドキドキ感よりも、「誰?誰?誰?」みたいな違ったスリルも味わえたGREEな出会いでした(笑)
最後に
その娘とはその後どうなったって?
うーん、それはまあ色々ありましたよ…(笑)
世の中にはいろんな出会いがあると思いますけど、当時の出会いは人生30年の中で一番緊張したかもしれません(笑)
いわゆるオフ会も似たようなものだと思うけど、自分自身それほど経験がなく、なんせ土地勘のない異国の地での出会いでした。
だから、この時の出会いの瞬間のドキドキは、今でも心臓の音が思い出せるくらい自分の中ではセンセーショナルなものでした。
コメントする(承認制です)