本レポートは、友人Sから聞いた話を再現したものである。
WANTED
- 写真
- なし
- 名前
- 翔子(仮名)
- 年齢
- 23歳
- 地域
- 千葉県白井市
- 身長
- 160cmくらい
- 体重
- 不明
- 活動エリア
- 不明
序章
これは2年ほど前の話。
翔子とはメル友というより、TEL友だった。
彼女は学生時代、学校で虐められ、家庭環境も複雑な中で育った。
母親の再婚相手からは冷遇され、義理の兄弟からは色目を使われる日々を過ごす。
翔子はそのころに付き合っていた彼氏と、家出同然で同棲し始めた。
しかし、彼氏は嫉妬深く、彼女を定職に付かせることはなかった。
自由になるためのお金もなく、アパートに閉じ込められた生活が続く。
日に何回か彼氏から連絡が入り、電話に出ないと怒りだした。
翔子は彼氏と別れて自立することができず、実家にも帰れずにいた。
もし彼女の話が本当だとしたら、育ってきた環境も含め、同情すべき境遇ではある。
だからこそ数ヶ月間、彼女の相談相手やグチの聞き役として、自分なりに彼女の将来を考え、アドバイスをした。
そうしているうちに、翔子はコンビニで働けるようになった。
もちろん、彼氏は難色を示したが、「彼女が自由になる」第一歩である。
彼女がコンビニで働いている間は、外出は仕方のないことだし、彼氏からの連絡もなかった。
翔子と会ったのは1回のみで、そのコンビニでの勤務ローテーションを擬装し、少し時間を作ってもらった。
たしかに、彼女は彼氏が「籠の鳥」にしたくなるような美少女タイプだった。
たが、私は彼女の境遇を知っているからか、その表情に豊かさは感じられない。
彼女に対して心配していたのは、彼氏からの暴力。
しかし、それは杞憂だった。
翔子の肌は白く、とても綺麗だったからだ。
それから数日後、彼女から緊急の連絡がきた。
「他のサイトでやりとりした男に付きまとわれている」とのことだった。
最初は普通の話をしていたが、どこかで噛み合わなくなったそうだ。
まあ、出会い系サイトで変な相手にからまれるのはよくある話だろう。
少し違うのは、メールのやりとりをしていた自称「サイトスタッフ」の男が、教えてもいない彼女の固定電話に電話をかけてきたことだった。
転換
僕は「そんなことがあるのか?」と考えたが、実際にかかってきたのは事実である。
翔子は携帯を持っていたが、出会い系サイトはPCを使っており、固定電話番号を登録していた。
固定電話の所有権は、同棲している彼氏にある。
僕が彼氏に内緒で、彼女1人で対処できるようなアドバイスをすることは困難である。
彼女には、「話を変えてもいいから、彼氏に助けを求めたほうがいい」とアドバイスした。
それから2ヶ月後、翔子に連絡を取ってみた。
彼女は、いつも通りの彼女だった。
しかし、彼女の状況は変化していた、結婚していたのだ。
驚いたのは、その相手は同棲していた彼氏でなく、付きまとっていた自称「サイトのスタッフ」の男。
私のアドバイスとは逆に、彼女はその男を彼氏と別れるために、自分の後ろ楯としたのであろう。
「毒を持って毒を制す」とは言う。
しかし、いきなり調べた固定電話に電話をかけてくるような男と、幸せになれるのだろうか?
おめでたいことではあるが、なんだか釈然としない気持ちもある。
理由はどうあれ、彼女が幸せをつかんだなら、それで良いのだろう。
「もう、引き際だな」
私は、ことの成り行きを聞くこともせず、電話を切った。
1年が経過してそのことを忘れかけていた頃、翔子から留守電が入っていた。
「お金を貸してください」
私は、基本的に男女間でのお金のやりとりは好まない。
何回かかかってきた電話に出た私は、最近この電話番号を使い始めた第三者を演じ、翔子との縁を切った。
彼女が現在どういう生活を送っているかは知らないが、幸せとはほど遠いのかもしれない。
彼女の境遇には同情するが、両手をあげて賛同できることではない。
彼女自身、どこかで「それ」を呼び込んでしまうような振る舞いがあるのかもしれない…。
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