ライターチャン小林
前回もお伝えしたように、「打ち子」の業務は複雑ではなく、誰にでも出来てしまうシンプルな作業の繰り返しなのである。
延々とメールを送り続けては男性とやり取りをして、待ち合わせ場所まで誘導し、また別の男性へと営業を掛けていくのだ。
筆者は1週間事務所に泊まらなければならない事もあり、閉店後もキーボードを叩いて営業を続けた。援デリ業者が営業していない時間にメールを送ることで、返信率が上がるという読みである。
だが本当の理由は、「俺と同じくらい落とせるようになったら『キャスト』に会わせてやる」とO氏に言われていたからだ。
遊び慣れていない男が狙われる
援デリの営業時間は11時~21、22時頃までが定番になっているのだが、早朝や夜中は他の業者からの営業メールが極端に減るのだ。ライバルが少なくなることもあり、メールを送り続けた結果、7、8人の男性を落とすことが出来た。
実はO氏から、「アカウントは3個作って3パターンのキャラを使えば落としやすい」と聞いていたので、バツイチ、家賃が払えずに困っている学生、整形したい人妻のキャラを作成したところ、見事に成功したのである。O氏曰く、遊び慣れていない男性が多い為、イメージしやすいキャラを設定することで、メールのやり取りをしながら色々と妄想して興奮してしまうそうだ。
また、落ちやすい男性の特徴にも気付くことが出来た。
具体的には、遊び慣れている人はメールの文章もシンプルで、手っ取り早く会おうとしてくるのだが、慣れている分条件に対して厳しい。一方、遊び慣れていない人は上から目線になりがちなのだ。
と言うのも、後者はコミュニケーションが不足していて、ほぼ出会い系初心者であることから、メールのやり取りではそういった傾向になりやすいのだ。慣れてくれば、営業メールへの返信文で見分けられてしまう。
寝ずに打ち子をしたことで、晴れてO氏に信頼された筆者。
O氏「1日とか2日でここまでやるとは思ってなかったよ。このまま経験積めば店出せるレベル。ちょっとキャストに会ってみるか?」
筆者「是非、会わせて下さい!」
キャストと初対面
筆者は負けず嫌いであるが故に、トコトンやったことが良い方向に転がってくれた。
営業終了後には、キャストからの売上金の受け取りを一緒に付いて行くことになったのだ。一体どこで回収するのかと気になっていたのだが、駅近くのコンビニ前で堂々と現金を受け取るO氏。人が来ない場所だと思っていたこともあり、驚く筆者。
O氏「K美ちゃんに紹介するわ。新しい打ち子さんなんだけど、センスあるからすぐに店長だよ」
K美「本当!凄いじゃん。私、K美って言います。ヨロシクね!」
挨拶をする筆者だったが…K美さんに驚きを隠せないのである。パッと見た印象は縦にも横にもデカいので、威圧感を感じてしまうほどだ。身長は162cmなのだが、ハイヒールが更にデカさを強調している。アカウント作成時に登録したプロフィール写真とは似ても似つかないのだ。出会い系でK美さんが来たら、筆者は慌てて逃げ出してしまう事だろう。
次のキャストへ向かう時、O氏はこう言ったのだ。
O氏「K美ちゃんは援デリの中ならB~Cクラスってとこかな。今、『あれで?』って思ったよね」
筆者「はい…。正直Eクラスとかじゃないんですか?」
O氏「Eクラスはもっとヤバイから」
Eクラス:ホスト狂いのA子
援デリのキャストは基本的にだらしない女性が多く、当日欠勤や遅刻は当たり前とのこと。
A子さんは毎日時間通りに出勤して来ると聞いていたので、真面目な女性なのではないかと想像していたが、O氏が「A子はEクラス」と言う意味を知る事になる。
O氏「A子ちゃん、今日もお疲れ様!明日もお願いね」
A子「ブツブツブツ…(聞き取れない声で)」
ジッと下を見ながら、1人でずっと喋っているのだ。体型は細く、可愛らしい顔をしていたのだが、不気味なA子さんに引いてしまう筆者。すると、O氏が笑いながらA子さんについて教えてくれた。
O氏「クスリやってるように見えるでしょ。あれ、アル中で酒と一緒に精神安定剤とか飲みまくってるから。あと、毎日稼いではホストに行くのよ。だから服もずっと一緒だし、風呂にも入らない。Eクラスって事が納得できたでしょ。援デリで墜ちていくとA子みたいになるんだよね」
O氏の話とA子さんに会った衝撃が強すぎたのか、何も考えられなくなっていた筆者。このA子さんが、後に大問題を起こす事になるとは思ってもいなかったのである…。
6日目店長F氏拉致事件
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