本レポートは管理人の業務怠慢により、1ヶ月以上遅れての公開(『ロムコミ12』の開催日は2/15)となりました。ライターのY氏を始め、掲載レイヤーの皆様に深くお詫び致します。また、素晴らしいレポートを執筆して下さったY氏、参加サークルやスタッフの方々に事前告知をして下さった名古屋ロムコミ主催者の「やげざわ」様、取材を快諾して下さったレイヤーの皆様に、改めてお礼を申し上げます。
ライターY
皆さんは「コスプレ撮影」と聞いて何を思い浮かべるだろうか?
【EGweb】の読者ならば、まずこの記事が頭に浮かぶことと思う。
Check「足を開いて」コスプレJCにわいせつ行為、無職男を逮捕―雑木林で撮影会
この男の場合は14歳のJC相手に欲情し、性的興味からそういった行為をしてしまった。
明らかに青少年健全育成条例に抵触する。
では、相手が18歳以上の場合はどうなるか?
「合意の上」であれば罪に問われる事は無い。
とは言うものの、「合意の上」でエロいコスプレ撮影がそう簡単に出来るのか?
実は出来るのである。
昨今のコスプレ業界について
本題へ入る前に、昨今のコスプレ業界について軽く述べておきたい。
私自身、実は結構なオタクであり、コスプレイヤー(以下、レイヤーと表記する)達とはもう10年以上の関わりがある。尤も、コスプレ撮影がメインフィールドではなかった為、さほど事情通という訳ではないのだが…。
10年以上昔、私は仲間とサークルを立ち上げ、即売会の売り手として活動、18禁PCゲームの二次創作(自作のゲームやグッズ)を販売していた。
当時、コスプレのみのイベントは殆ど無く、同人誌即売会にコスプレスペースが開放されており、ソコでレイヤー達の交流が有った。
思い返せば、緩くも穏やかな時代だった。
イベント会場に行けば、友人のカメコ(カメラ小僧の略)がいて、仲の良いレイヤーさんがいて、雑談が楽しくて、イベントに一般参加したのは良いが、一枚の写真を撮らないこともままあった。
文字通り、同人誌即売会を趣味とする仲間達との交流の場になっていたのだ。
時代は流れ、現在はコスプレメインのイベントが多数開催されている。
冒頭の記事で「コスプレ愛好家サイト」と表記されているSNS等を通じて、レイヤーさんはあらかじめ撮影者を確保し、イベントに参加するのが主流になっている。
そうなると、撮影者は事実上彼女達の専属カメコとなり、他のカメコが彼女達を撮影する余地など無い。
また、カメコからすれば、他にお気に入りのレイヤーがいたとしても撮り辛い状況となっている。
「撮影を頼んだのに関係ないレイヤーばかり撮っていた」などと言われる事も多々有る。
何とも世知辛い世の中になったものだ。
因みに、撮影依頼を受けずにイベントに参加し、撮影するカメコのことを「野良カメコ」と言うそうだ(昔の私達は皆「野良」だった気がする)。
現代のコスプレイベントは交流の場では無く、自分達のコス写真を撮る場所に変化している。
主目的が「交流」から「写真撮影」に移った時点で、今回私が参戦したイベントの基盤は出来上がっていたのかもしれない。
『他人よりも見栄えの良い写真を撮影して公開したい!』
そんな気持ちを突き詰めると、“コスプレROM写真集の販売”へと行き着くのだ。
「コスプレROM」の種類
【出典:凸ポンのブログ】
「コスプレROM」と言っても様々な形態が有る。
一番多いのは、いわゆる青年雑誌等でよく見るグラビア系から着エロ系のROMだ。
「R-15」と表記されることの多いこのジャンル。作り手の方々も男性目線の要望を理解されている様で、セクシーカットを中心に纏められていることが多い。
このR指定は作り手側の自主規制であり、明確な線引きはされていない。
「R指定無し」でもソコソコエロい写真が納められていたり、「R-15」であっても殆ど露出の無い場合もある。
反対に、『いやーこれはどう見てもR-18でしょ!』なんて写真が「R-15」に分類されている事も有る。
今回、「同人コスプレROM即売会」の参加にあたり、友人からこの手のROM作品を20枚以上お借りすることが出来たので、あらかじめ検証しておいた。
その結果、大まかな区分けは以下の様になっていた。
R指定無し(全年齢向け)
男性向けということで多少の露出は有るものの、せいぜいパンチラ程度まで。
過激なポーズは少ないが、それなりに凝った写真が多く、レイヤーの容姿が好みであれば写真集としては十分楽しめる。
R-15
数としてはこの分類が最多。それなりに露出が多く、過激なポーズも有る。
男性向け雑誌のグラビアから着エロ程度までが大多数だが、中には全くエロくない物が有ったり、逆に疑似性交を撮ったり、肝心な部分はテーピングで隠されているものの、エロ本と大差ない物も有る。
数が多いだけに当たり外れの差は大きいが、ROM作品として凝った作りの物も多い。
モザイク不使用の写真は、ほとんどが「R-15」に分類される。
R-18
ズバリ!コスプレHを収録したROM。
疑似性交も含まれていて、モザイク無しの販売物も有るが、エロさではやはり「R-18」が一番。
大人の玩具を使ったり、精液ぶっかけの描写などはもはやデフォルトの様だ。
モザイク有りの作品は、雑誌やAVよりも細かいモザイク処理がされており、コストパフォーマンス的にもかなり高得点。
実用性を求めるなら、迷わずR-18作品を買うべきだろう。
ざっと纏めると上記の様になる。
前置きはこのくらいにして、今回取材した『ロムコミ12』のレポートに移ろう。
男の欲望渦巻く即売会会場
今回私が取材させて頂いた名古屋の『ロムコミ12』は、この度12回目の開催となる男性向け同人ROMの即売会だ。
このロムコミ、その前身は「メンズコミック」と言う男性向け同人誌即売会で、10年以上昔の話になるが、実は私自身メンコミにサークル参加していたことが有る。
当時から「男性向け」と唱っていただけあり、地方のイベントにしては来場者も多く、売り上げもかなり良かった。オタク+エロは結構金になるのだ。
今回、ロムコミ12主催の「名古屋メンズコミック準備会」様のご厚意により、取材させて頂けることとなった。
この場を借りてご快諾のお礼を述べたいと思う。
Check名古屋メンコミ準備会公式サイト
当日は相当混雑するものと予想し、一般入場開始時間より少し遅れて会場に到着した。
この手のイベントでは、開場待ちに並ぶなんてことはごく普通なのだ。
一番混雑する開場直後を避けて行ったのだが、既に開始から30分以上が経過しているのにも関わらず、会場入り口前にはパンフレット購入者の列と、カメラ登録を行うカメコの列が出来ていた。
この様なイベントでは、参加サークル一覧などが印刷されたパンフレットを参加者が購入し、パンフレット自体が入場券代わりとなる。
料金は1,000円~2,000円が相場だが、今回のロムコミ12では1,000円。良心的な価格設定と言える。
更に、会場内で写真撮影を行う場合はカメラ登録(別途500円)が必要となる。
所定の用紙に住所氏名等を記入し、身分証明書を添えて主催側に申請するのだ。
イベントによって様々な規約が設けられており、使用レンズの焦点距離が制限されている場合も有る。
これは、望遠レンズを使っての盗撮等を防ぐ意味合いも含まれている。
ロムコミ12の撮影規制は殆ど無く、大抵のイベントの規約に記載されている「動画撮影禁止」の文言も無かった。私が見た限り、動画を撮っている参加者は居なかったが、皆自主的に遠慮しているのだろうか?
混雑している受付を避け、一旦喫煙所に退避し、人の減りを待つ。
だが、一服して戻ってみても人が減る気配は無く、私も仕方なく列に並ぶ。
パンフレットを購入し、カメラ登録を済ませた後、主催側にご挨拶。
一般入場者や参加サークルに迷惑を掛けない範囲の取材を心掛ける様伝えられ、本来は禁止されている撮影スペース以外での写真撮影許可を頂く。
なお、今回取材する旨は、参加サークルやスタッフに事前告知されていた。
どう見ても「アダルト系」の【EGweb】が取材に来る事に対し、取材拒否を表明したサークルが有ったことも事実だ。
サークルに参加しているコスプレイヤーの彼女達は風俗嬢ではないのだ。
ある意味当然の反応なのかもしれない。
そんな彼女達を意図せず写してしまう事態を避ける為、本レポートには会場の雰囲気を伝える全体写真が無いことをご了承頂きたい。
全ての掲載写真は個々に取材・撮影させて頂き、本人から掲載許可を得たもののみとなっている。
皆シャイなのか?それとも単にチキンなのか?
受付を抜け、会場内に足を進めると、そこは異様な熱気に包まれていた。
資料によると、230m²程のホールに31の参加サークルと、とんでもない人数の一般参加者が詰め込まれているらしい。
ざっと見ても250人以上は入っているのではないだろうか?
サークルの販売スペースを除いた通路や、撮影スペースとして確保されている壁面の空間も僅かだ。
どう見ても一人当たりの占有面積は50cm²を切っている。混雑ぶりをご理解頂けただろうか。
通路には、お目当てのサークルでROMを購入しようとするカメコ達の列が出来ていた。
ただ単に通路を進むだけでも、あまりの混雑ぶりにマトモに歩くことすら叶わない。
とてもじゃないが、参加サークルに話を聞く様な雰囲気ではないので、広さに多少余裕の有る撮影スペースに身を寄せ、暫し状況を傍観する。
殆どの一般参加者は、その手に一眼レフかミラーレス機を持っている。
無論、コスプレイヤーを撮る目的でここに来ているのだろうが、肝心の女性レイヤーがいない。
サークル参加の女性レイヤーはROMを販売するのにてんやわんや、この時間帯の撮影は不可能だろう。
そうなると、一般参加の女性レイヤーが被写体になるのだが、私の見た限り、そういう女性は2名しかいなかった。
そもそも、一般参加であろう女性自体を見掛けたのは計3名。
以前の「メンコミ」では、もっと多くの女性がいた気がするのだが…。
そんな希少な一般参加の女性レイヤーの一人が私の友人であった。
受付に並んでいる時に彼女を見掛け、既に軽く挨拶している。
壁際の撮影スペースで三脚を取り出し、自分を撮影しようとしている様だ。
三脚なんて使わなくとも、写真を撮る奴なら会場内にいくらでも居るのに(苦笑)
周りに居る連中も、そんな彼女に声を掛ける気配は無い。「ボクが撮りますよ!」と声を掛ければ自分のカメラで撮れるのに。
(皆シャイなのか?それとも単にチキンなのか?)
取材が出来る状況では無く暇な私は、彼女に声を掛け、彼女のカメラで撮ってあげることにした。
何枚かパシャり、その後自分のカメラで彼女を撮る。
勿論取材であり、写真を掲載する旨を伝えての撮影だ。
一般参加レイヤー:「蜜柑」さん
彼女はコスネーム「蜜柑」さん、私とは3年程前からの知り合いだ。
今日は「ほぼ裸」のカワイイ女性レイヤーと、欲望を抱えて戦地に赴くカメコ達の眼差しを眺める為に来たと言う。
何ともステキな趣味ではないか(笑)
因みに彼女のコスは、ゲームが原作で最近アニメ化されている「艦隊これくしょん -艦これ-」。
主人公達の敵となる深海棲艦の「戦艦タ級(せんかんたきゅう)」とのこと。
私もアニメはチェックしているのだが、敵キャラにまでは気が回っていなかった。
オタクとは言っても所詮にわか、私のオタ度などまだまだである…。
え?今日はまだ空いてる方だよ
蜜柑さんを撮り終えてふと振り返ると、私の後ろに撮影待ちのカメコの列が出来ていた。
コスプレイベントではよく有る光景なのだが、自分からレイヤーに声を掛けられない連中は、こうして撮影しているカメラマンの後ろに並ぶ。
そうすると、前のカメラマンの撮影終了後、頭を下げるだけで撮らせて貰えるという寸法だ。
何だかな~という気もするのだが、深く突っ込むのは止めておこう。
撮られ続けるのも結構疲れるものだ。彼女はおそらく30分は解放されないだろう。
「とりあえず頑張れ!」と蜜柑さんに告げ、開場を移動するのに邪魔なカメラバッグを彼女に預け、喫煙所へ向かうために一旦会場を出ることにした。
喫煙所で偶然、友人のカメラマンと会ったので話し込んだ。私が会場に戻ったのはそれから30分以上が経過した後のこと。
先程に比べると、いくぶん販売スペースに並ぶ人の列が減っている様な気もする。
相変わらずスムーズに通路を歩ける程には空いていないのだが。
カメラバッグを預けている蜜柑さんの所に戻ってみると、どうやら撮影の方も一段落したご様子。
取材の前勉強の為、コスROMを大量に貸して下さった共通の友人D氏と一緒に床に腰を降ろし、お菓子を食べているところであった。
蜜柑さんのドイツ土産と言う白いキャラメルを頂きつつ、私もその輪に入る。
「しかし、とんでもないカメコの数ですね」
私がそう言うと、2人は一緒に
「え?今日はまだ空いてる方だよ」
と答えた。
D氏の話によると、今日は東京で同様の即売会が開催されているらしい。
その為、普段なら関東から参加するいくつかのサークルが『ロムコミ12』には不参加で、彼女達のROMを目当てに来るカメコがいない分、今日はまだ混雑していないとのことだ。
これで空いているなんて、普段はどんな感じなのだろう??少し気が遠くなる。
ここまで私は取材らしいことを何もしていない。
ただ会場で会った友人達とダベり、喫煙所で煙草を吹かしていただけだ。
流石にこのままではマズいので、とりあえず販売スペースを一回りしてみることにした。
先程までは人が多過ぎて、販売スペースを覗きに行く気さえしなかったのだ。
販売スペースの至る所で乳や尻が乱舞する
販売スペースはジャンルごとに区分けされていた。
ここで言うジャンルとは、前述したR規制の事だ。
『ロムコミ12』のサークル内訳は、全年齢向けが8サークル、R-15指定が13サークル、R-18指定が10サークルとなっている。
とは言うものの、「R-15」と「R-18」に明確な線引きが有る訳ではない。
あくまで作り手側の自主規制、少なくともROMを販売しているレイヤーの衣装の露出度に関しては大差ない。
その衣装も、『もはやコレがコスプレなのか?』と首を捻りたくなるような有様だ。
ビキニやスク水なんかはまだマシな方で、殆ど「紐」としか表現しようのないボトム、乳首にはテーピング。
「これは裸と何が違うんだ!!」と突っ込みを入れたくなるレイヤーが何人もいる。
販売スペースの何処に視線を飛ばしてみても、乳や尻が目に飛び込んで来るのだから。
こういった衣装に対して、コスプレ業界には便利な「オリジナルコス」という言葉が有る。
版権物のキャラクター等ではなく、創作コスプレのことをこう呼ぶのだが、そもそも目の前で展開されている乳や尻の乱舞はコスプレの範疇なのだろうか??
彼女達がこの様な過激な衣装に身を包んでいるのには理由が有った。
ほぼ全てのサークルで、ROM購入一枚ごと(もしくは1,000円購入ごとなど)に持ち時間数分の個人撮影券を配布している。
実はロムコミでは同人ROMの即売会終了後、一度会場をまっさらな状態に戻し、会場全体を開放して1時間程の「アフター撮影会」を行うのだ。
個人撮影券はその時に必要なチケットとなる。
サークルによって撮影時間は様々だが、30秒~2分が殆ど。
複数枚のROM購入や、高額購入者はその持ち時間が延長される。
中にはROMの購入特典としてでは無く、撮影券自体を販売しているサークルも有った。
あるサークルでは、持ち時間2分の個人撮影券が3,000円という価格で売られていたのだが、ソレが完売していた事には恐れ入った。
もはやROMを買ったオマケの個人撮影なのか、個人撮影目的でROMを買うのか判らない状態だ。
その為、自らの写真が収録されたROMを販売するサークルの参加レイヤー達は、競って過激な衣装を披露する事となる。
その衣装で個人撮影が出来る為、カメコ達もより過激な衣装のサークルに集中するのだ。
個人的な好みは有るのだろうが、レイヤーの容姿よりも衣装の露出度でサークルに並ぶカメコもいる様に見えた。
全くオトコって奴は、いくつになっても欲望には正直だ。
一般参加者の年齢層は20代前半~30代前半がメイン。
だが、どう見ても40代半ばの私と同年代、または完全に私より年上のカメコも決して少なくない。
彼等は「カメラ小僧」では無く、「カメラおやぢ」だが(笑)
そして彼等が開場待ちをしてまで、他のカメコより早くROMを購入するのにも訳が有った。
D氏によると、中には総撮影時間を考慮せずに個人撮影券を配布するサークルも有ると言う。
そうなると当然、遅い時間に購入した者は撮影する時間が無くなり、一対一の個人撮影の筈が、急遽囲み撮影に変更される事が有る。
囲み撮影となれば目線を貰える確率が減り、他のカメコによって撮影アングルにも制限が出てくる。
そういう訳で、彼等は我先にとサークルに群がるのだ。
ビキニ?「紐」だろこりゃ!!
販売スペースを一回りしてバッグを預けている蜜柑さんの所に戻ると、D氏が戦利品を手にやって来た。
「紙媒体を出しているサークルは応援したくなるんだよね」
そう言う彼が大事そうに抱えているのは、とあるレイヤーさんのコスプレカレンダー。
「ちょっと見せて」
そう言って彼からカレンダーを受け取り、冊子になっているページをペラペラ捲ってみる。
なるほど、なかなか凝った撮影をしている。
衣装のクオリティやレイヤーのポージング、表情も悪くない。
だが、グラビア印刷で使うには元画像の解像度が絶対的に足りない。
縦長のカレンダーなのだが、長辺を基準にトリミングしたとすると、全画素表示ではB2程度の大きさになるだろうか?
このサイズをグラビア印刷し、手に取る距離で鑑賞する為には、昨今のデジ一眼でスタンダードとなっている2,000万画素でも足りない。
要するに画質が荒いのだ。カレンダーの性質上、壁に掛け、ある程度の距離を置いて見る分には全く問題ないのだが、おそらくD氏を含め、購入者の多くは本来の使い方はしないだろう。
大切に保存し、「写真集」として眺めることになると思う。
昔の同人活動でスタンダードだった紙媒体は、デジタル化により誰もが簡単に参入できる様になった結果、敷居の高いモノとなっている。
モニターで見る写真と同じ画像を、クオリティを保ちつつ紙媒体に印刷する為には、約4倍の大きさの元画像が必要となるからだ。
そうこうしている内に、私達の隣でとあるサークルの個人撮影が始まった。
ROMを多数販売し、多くの撮影券を配布しているサークルは、アフター撮影会だけでは時間が足りないのだろう。
即売会終了までまだ1時間近く残っているこのタイミングで、撮影者を捌き始めた。
そして、ビキニ姿のレイヤーが壁際に立つ…。
(ビキニ?「紐」だろこりゃ!!)
とにかく、そんなほぼ裸のレイヤーの前に、一瞬で長蛇のカメコの列が出来上がった。
サークルの関係者らしき男性がスマホのタイマーで時間を計りながら、残り時間を知らせている。
カメコ達の撮影ペースは、誰を見ていてもほぼ1コマ/秒に満たないスローペース。
中には一枚撮った後、次のシャッターを押すまでに10秒近く掛かる奴もいる。
デジタルなんだからもっと連写すればいいものを。
微妙な表情の変化なんかは、沢山撮っておいた方が後から選択肢は増えるのだが…。
何気なくミラーレス機で撮っているカメコの背後に回り、液晶に映し出される映像を覗き見してみた。
そこには、突き出されたレイヤーの尻が大写しになっていた。
(うーん…個人撮影で顔も写さず、パーツ撮りするという発想は無かった)
暫く同じ位置に陣取り、何人かのカメコの撮影を眺めていたのだが、こういうフレーミング(枠作り)で撮っている奴が結構いる。
もはや被写体がカワイイとか、好みだとかは彼等には関係ないのかもしれない。
露出の激しいレイヤーを抱えるサークルの売り上げが伸びる訳である。
被写体となるレイヤー側も、カメコの「撮りたい欲求」を理解している様で、様々なポーズを自ら付けレンズの前に立つ。
主に乳、尻、股間を強調するポーズを次々と繰り出す。
一体何処でこんなポージングを仕入れて来るのだろうか?
後に複数のレイヤーに話を聞いたところ、ROM撮影の際にカメラマンが多くシャッターを切ったポーズを覚えていたり、イメージDVD(おそらくは着エロDVDだろう)を観てポージングを研究しているとのことだった。
なるほど、オトコがグッと来るポーズならば撮影者のレリーズ数も自然と増える。
ソレをちゃんと覚えておくとは良い方法だ。
壁際の撮影スペースでは、いつの間にか何組ものサークルの個人撮影が開始されていた。
乳と尻が乱舞する。健全な男性なら端からその様子を眺めているだけでも楽しめるだろう。
即売会終了まで残り30分程、ようやく販売スペースも空いてきたので、実際にROMを販売しているレイヤーに話を聞く為、販売スペースへ向かった。
コレの撮影が一番頑張りました!
まず向かったのは、「R-18」のROMを販売するサークルが集まっているスペース。
ざっと一通り見回ってみたが、なるほど、ROMのパッケージからして中々エロい作品が多い様だ。
どのサークルも複数種類のROMを販売しており、既に完売した作品も多く見受けられた。
折角なので、私も後学の為にROM作品を自費で購入してみることにした。
さほど財布に余裕が有る訳ではないので、数枚しか買えないのだが…。
各サークルでは、ROMに収録されている画像の一部がプリントアウトされてアルバムに納められており、サンプルとして内容を垣間見ることが出来る。
「ちょっと見せて下さいね」
そう言い、複数のサークルでサンプルを拝見させて頂いた。
その中で私の目を引いたのが、サークル「たまころにー」。
レイヤー「maco」さんとカメラマン「Tat」さんのユニットサークルである。
macoさんは胸元が大きく開いた濃紺のミニスカメイド服を着ている。この会場の中ではかなり大人しい衣装だ。
だがサンプル写真はかなり過激で、収録内容に期待が持てる印象を受けた。
同サークルでは3種類のROMを販売していたが、その中で被写体のmacoさんにイチ押し作品を聞いてみた。
「コレの撮影が一番頑張りました!」
そう言って彼女がお奨めしてくれたのは、「亀娘せるふさーびす」と言う作品。
東方プロジェクトの「伊吹萃香(いぶきすいか)」のコスをした、いわゆるハメ撮り写真集だ。
それほど原作に詳しい訳ではないが、確かこのキャラはロリっ娘だった筈。
随分とセクシーな萃香だが、それはそれでアリかもしれない。
収録されている写真の枚数も200カット近く、1,000円という価格を考えたらお買い得と言える。
「じゃあ、コレを頂けますか」
代金をmacoさんに渡し、ROMを受け取る。
「後出しみたいで大変申し訳ないのですが…」
そう言って彼女に名刺を手渡し、取材である旨を伝えてお話を伺う。
色々と興味深い話をお聞きした後、他のサークルを見て回ろうとすると、
「あの、アフター撮影会には参加されますか?」
と、彼女の方から撮影チケットを手渡してくれた。
続いて、最も参加サークルの多いR-15エリアを見て回る。
ここは前述の様に露出度も様々で、R-18作品よりも写真を作り込んだ印象が有る。
被写体として魅力的なレイヤーは何人もいたのだが、私の主目的は彼女達の撮影よりも、写真集として楽しめるROM作品を買うこと。
残念ながら、今回は私の嗜好に合う作品とは出会えなかった。
尤も、全ての作品を見た訳ではないので見落としているとは思うのだが…。
ROMの購入は無かったものの、こちらでも複数のレイヤーからお話を伺うことが出来た。
最後に、R指定無しの健全なROMを販売するサークルが集まっているブースを見て回る。
流石に露出は少なく、過激なポーズも無いものの、私の様な「足フェチ」には十分楽しめる内容だ。
「青年向けマンガ雑誌のグラビア程度」と言えばご理解頂けるだろうか?
写真の作り込みや拘り度で言えばこの分類が一番で、どの作品も単純に写真集として楽しめる。
また、被写体の過激な露出に頼らず、撮影者のカラーがよく出ているのも特徴だ。
同じカメラマンの私にとってもかなり参考になりそうだ。
色々なサークルでサンプル写真を見て回ると、私の目が留まったのはレイヤー「せんりい」さんの個人サークル、「うさぎキッチン」。
Checkつづろぐ=葛籠blog=
同サークルでは、複数のカメラマンが撮影した彼女のコスプレROMが売られていた。
5種類のROM作品を持ち込んだとのことだが、既に2作品が完売している。
「うさぎ娘」のオリジナルコスをしている彼女のサンプル写真には、とても好印象を持った。
サークル参加レイヤー:「せんりい」さん
キャラクターによって、決めポーズや決めの表情が有るコスプレ写真。
ともすれば一つの表情に偏ってしまう事も多いのだが、彼女のサンプル写真は非常に表情豊かだ。
また、撮影しているカメラマンもそれぞれ個性的で、撮影者によって彼女の違う魅力を引き出している。
今回は「契~ちぎり~」と言うROM作品を購入させて頂いた。
そして彼女からもお話を伺い、個人撮影券を受け取った後、友人達が集まっている壁際のスペースに帰還した。
ボランティア精神溢れる「スタッフ参加レイヤー」
撮影スペースでは相変わらず個人撮影の真っ最中。
基本的にはROM購入者を対象とした撮影なので、私の様にレイヤー達のROMを買っていない人間が撮影することは出来ない。
だが、一部例外が有る。
実はロムコミに参加しているレイヤーには3種類の方々がいる。目の前で個人撮影真っ最中の「サークル参加レイヤー」、私の友人である蜜柑さんの様な「一般参加レイヤー」、そして受付対応やパンフレットなどの販売を行う「スタッフ参加レイヤー」である。
即売会の残り時間も僅かとなったこのタイミングで、スタッフ参加レイヤーの手が空いたのか、撮影スペースで被写体としてカメラの前に立っている。
私が確認した範囲ではスタッフレイヤーは3名で、それぞれ囲み撮影を行っていた。
彼女達はROMを販売している訳ではないので、フリーで撮影することが出来る。
ボランティア精神を持ち合わせる天使の様な方々だ。
流石に露出は少ないものの、普通にカワイイ。
即売会終了まで10分を切っているが、私もバッグから一眼レフを取り出し、彼女達を撮影することにした。
まずはブルマー姿で囲み撮影を行っているスタッフレイヤーを撮る。
だが囲んでいるカメコが多過ぎて、目線を貰える頻度が極端に少ない。
また、今日はズームレンズではなく、単焦点の標準レンズしか持って来ていないので、前述のカメコの様に身体の一部をパーツ撮りするには、カメコの人垣を乗り越えてレイヤーに接近するしかない。
そんな事をしたら顰蹙(ひんしゅく)ものだろう。
彼女の撮影は諦め、他のスタッフレイヤーを撮ることにした。
目に留まったのは、「ラブライブ!」の主人公、「高坂穂乃果(こうさかほのか)」 のコスをしているスタッフ参加レイヤーの「X」さん。
「ラブライブ!」は女性レイヤーにも男性カメラマンにも人気の作品だ。
原作に多くの衣装が登場するのだが、彼女はアニメのOPに登場する、通称「僕らは今の中で」の衣装を着用していた。
スタッフ参加レイヤー:「X」さん
※画像は本人の要望により削除しました。
衣装を見ただけで名前が出てくるオッサンも中々キモイと自分で呆れつつ、とりあえず彼女を撮らせて頂いた。
背景は展示会場の様な壁の為、マトモにフレームに入れたのでは絵にならない。
結果的に寄った写真が多くなるのだが、私のようなオッサンが至近距離から撮ってもXさんは笑顔を崩さない。
『撮られ慣れているな』という印象を持った。
彼女を少し撮影をしたところで、即売会終了の時間となった。
ここで一般参加者は一旦会場の外へ撤収し、30分程で会場内を片付けた後、アフター撮影会が開始される。
Xさんに撮影させて頂いたお礼を言い、私も会場を出て喫煙所に向かった。
例えソレがエロいポーズであっても手は抜かない
会場を出てみると、既に再入場待ちのカメコの列が出来ていた。
これから約30分、自慢のカメラを手にずっと待っているのだろうか?
とりあえず喫煙所に向かい、数本の煙草を灰にする。
そろそろ再入場の時間だろう。遅ればせながら私も列の最後尾に並ぶ。
アフター撮影会はそれからすぐに開始された。
列のかなり後ろで入場した私が会場に入った時には、既に多くのカメコ達が撮影中で、フラッシュの光とシャッター音が会場内を包んでいた。
入口のすぐ横にXさんがいた。
先程は短時間の囲み撮影、名刺を渡す時間も無かったので改めてご挨拶。
折角なので、個人撮影をさせて頂くことにした。
2分程お時間を頂いて撮影し、彼女に丁寧にお礼を言い、会場内を一回りしてみる。
どのレイヤーの前にも撮影待ちのカメコの列が出来ている。
彼等の手には、複数の個人撮影券が握られていた。
中には「たった1時間の撮影会で何人撮るの?」と、突っ込みたくなる程のチケットを持っているカメコもいる。
アフター撮影会でも相変わらず、乳と尻が乱舞していた。
会場内をフラフラしていると、先程ROMを購入させて頂いた「たまころにー」のmacoさんを発見。
当然彼女も個人撮影中だ。タイミング良く撮影待ちの列が短い時に通り掛かったので、私もその列に並ぶ。
暫し待っていると私の順番が回ってきた。
ずっと彼女の撮影を見ていたが、やはり撮影者側からポーズの指示が出ることは一切無かった。
彼女が付けたポージングをただ撮っているだけだ。
「とりあえず、座りメインでお願いします」
彼女に希望を伝え、撮影タイムスタート!
まずはバストアップで寄り、撮りながら顔の角度や目線などの指示を出す。
少し戸惑っている様なmacoさん。そりゃあそうだ、私の撮影スタイルはこの会場内では異端と言って良い。
囲み撮影ならともかく、私だけが撮っているのだ。少しでもこうした方が良いと思えば被写体にソレを伝える。
例えソレがエロいポーズであっても手は抜かない。
サークル参加レイヤー:「maco」さん
持ち時間が終了した後、「あと2、3枚で終わって下さい」とサークルの男性から声が掛かる。
規定時間を過ぎてもまだ撮れるとは、何とも良心的な配慮。
時間に追われて好みのポーズを取り逃がしたカメコは歓喜するだろう。
「たまころにー」のお二人に取材と撮影のお礼を言い、私は列を離れた。
あのコなんですけどね、パンツが何か凄いんです
男性カメラマンと談笑している蜜柑さんを見付けたので声を掛けてみた。
彼女はこのアフター撮影会では被写体としてレンズの前に立たず、ほぼ裸の女性レイヤーとソレを撮るカメコを観察して楽しんでいると言った。
「あのコなんですけどね、パンツが何か凄いんです」
蜜柑さんの示す方に目をやると、縞模様の紐パンを穿いている女性レイヤーがいた。
撮影中の彼女は縞パンの横紐をほどき、それを指先に持って身体から離してみせる。
本来なら、小さな布切れがそのままペロンと肌から離れ、大切な部分まで露出してしまうところなのだが、あら不思議、パンツのフロント部は股間に密着したままだ。
「あれって、テープか何かでパンツを貼ってるんですかね?」
確かに疑問に思うけど、蜜柑さん、あなた目線が完全におやぢ化してるよ(笑)
暫し彼女と談笑してから、再び会場内を歩いてみた。
実は先程、もう一枚の撮影券を受け取った「うさぎキッチン」のせんりいさんを見掛けたのだが、撮影待ちの列が長かった為、一旦スルーしていたのだ。
再び彼女の撮影スペースに行ってみると数人が待っているだけ、私も列の後ろに並ぶことにした。
撮影の順番を待っていると、先ほど喫煙所で会った友人の男性カメラマンがやって来た。
「あれっ?Yさんって、せんりいさんと面識無かったでしたっけ?」
彼の話によると、某SNSで主催された非営利目的の撮影会のメンバーとして、せんりいさんは被写体で何度も参加していたとのこと。
私も数回その撮影会に参加させて頂いた。
尤も、私はこの撮影会に参加しても、殆ど写真を撮らずに雑談ばかりしていて、マトモに撮ったのはラスト30分程度。
彼女とは意外な所で接点が有った様だ。縁に恵まれず、同じ撮影会に参加したことは無かったのだが。
よく見てみると、私の前で撮影をしているカメラマンも見知った顔。
人の顔と名前を覚えるのは苦手なので気付かなかったが、この会場には知人が沢山いる様だった。
コスプレ撮影に限らず、女のコの撮影をしているカメラマン、被写体の輪というのは案外狭いものだ。
私の順番になったので、せんりいさんを撮らせて頂いた。
多くのサークルは、タイムキーパーとしてサークル関係者が時間を測っているのに対し、個人サークルの彼女は自らスマホのタイマーを起動し撮影に入る。
残り時間が判らないものの、私にはさほど問題にならない。
サークル参加レイヤー:「せんりい」さん
持ち時間を使い切った後、彼女もあと数枚撮っていいと言う。
個人撮影の時間は寄りの絵をメインに撮っていた為、有り難く全身カットを撮らせて頂き撮影を終えた。
これで頂いた分の個人撮影券も使い切り、とりあえずカメラをバッグに片付ける。
D氏と蜜柑さんが談笑していたので、私もその輪に入る。
アフター撮影会の終了まで、残り20分と言ったところだろうか?
既にD氏も撮影を終えたようで、後はまったりと談笑しつつ、他のカメラマンの撮り方などを観察することにした。
彼女を「女神」と呼ばずに何と呼べば良いのだろうか?
床にカメラバッグを置き、友人達とお喋りしつつ周りを見渡す。
すると会場の一角に、明らかに撮影待ちの列とは違う人垣を見付けた。
何事かと思いそちらを見つめていると、D氏が
「あ、フリーの囲み撮影を始めたみたいですね」
基本的には個人撮影券を持っていなければ、サークル参加レイヤーをこの時間帯に撮ることは出来ない。
だが、稀にフリー撮影会を開始するサークルが有ると言うのだ。
「つまり…私も彼女を撮っていいってこと?」
D氏に訪ねてみると、彼は笑顔で頷く。
(そりゃあ撮るしかないでしょう!)
一眼レフは既に鞄に片付けてしまったし、今日持って来たレンズが囲み撮影会で使いづらい事は、先程ブルマー姿のスタッフ参加レイヤーの囲み撮影で判っている。
そこで、ベルトポーチに入れて常に持ち歩いている小型のミラーレス機で撮ることにした。
取材撮影でもこのカメラは大活躍している。
とにかく小さいので、交換レンズ4本と本体を持ち歩いていても邪魔になる事は無い。
早速ポーチから望遠ズームを取り出し、レンズ交換。
人垣の後ろからレイヤーを狙う。
被写体となっている彼女は、「元はスク水だった濃紺の布」を着用している。
先程も彼女は個人撮影を行っていた。どうやら人気サークルの様だ。
即売会の時間帯は、彼女の衣装は「スク水」の体裁だったのだが、今現在、腰周りは完全に露出し、白いパンツが丸見え、胸元は乳首に貼られたテーピングが完全に見えるほど露わになっている。
その彼女にカメコ達が群がっていた。
サークル参加レイヤー:「相原愛姫」さん
なぜ彼女の水着がこんな姿になってしまったのか?
実は相原愛姫さんの個人サークル「相原Project!」では、今回の『ロムコミ12』でのROM購入1,000円毎に、個人撮影券は勿論のこと、彼女の着ているスク水の一部分を購入者が指定し、その部位に彼女自身がハサミを入れるという何とも面白そうな企画を行っていたのだ。
Check相原愛姫のブログ
そのお蔭で、彼女の胸や股間部分はスク水の面影が無くなっている。
黒髪の眼鏡っ娘でロリ顔、私を含め、オタク受けは良いに違いない。
そんな危うい姿で壁に手を付き、カメラに向かって尻を突き出すものだから、カメコ達も熱狂して当然だろう。
フラッシュの光が飛び交い、シャッター音が鳴り響く。
撮影が途切れる気配は一向に無い。サークル関係者らしき男性が愛姫さんに声を掛ける。
「まだあと15分有るけど、一旦切る?」
彼女は何も答えない。レンズに視線を配りつつポージングを続ける。
「大丈夫?最後までいけそう?」
心配して声を掛ける男性に、愛姫さんは小さく頷き撮影を続行する。
聞いた話では、個人撮影よりも囲み撮影の方が被写体としては疲れると言う。
あらゆる角度から多数のレンズが常に自分を狙っているのだ。一瞬も気を抜けない。
そんな中、アフター撮影会の終了時間まで、愛姫さんは頑張って被写体を続けると言うのだ。
こんな彼女を「女神」と呼ばずに何と呼べば良いのだろうか?
私も撮影場所やレンズを変えつつ彼女を撮らせて頂いた。
愛姫さんは時々ツイキャスで配信もしているとのこと。詳しくは彼女のTwitterをチェックして欲しい。
Check相原愛姫
アフター撮影会終了まで残り5分を切った頃だろうか?
それまで無言で黙々とポーズを出し続けていた愛姫さんが、カメコ達に対して口を開いた。
「何かご希望のポーズとか無いですか?」
小さな声でそう言う彼女。
一瞬シャッター音が止む。
10秒経過…だが、誰からもポーズのリクエストは無い。
20人以上が彼女を取り囲んでいるというのに、誰一人として自分の撮りたいポーズのリクエストすら出来ずにいる。
何とも情けない事だ。
愛姫さんにしても、あれだけ多彩なポーズを披露していたのだから、そろそろネタ切れなのかもしれない。
そこで私がポーズをリクエストしてみることにした。
「すいません!こっち向きの体操座りで両手は後ろに付いて体重をそっちに掛けて、膝はくっ付けたまんまで足先は開いて下さい!」
彼女はポカンとした表情で私を見ている。
まぁ、無理もない。言った本人ですら、こうして文字にしてみるとよく判らないのだから。
すると先程の男性が愛姫さんに近付き、
「言わんとしていることは分かりました!こういうことですね?」
と言い、彼女の手や脚を素早く移動させポーズを作る。
つまりは、このポーズだ。
止んでいたシャッター音が再び響き渡る。
(何だかな~。ポーズはともかく、エロい写真さえ撮れればいいのか??)
暫く同じポーズで視線を配っていた彼女は、ソコから少しずつポーズを変えていく。
こんなキワドイポーズも披露してくれた。
そして、アフター撮影会終了の時間が訪れた。
スタッフが速やかに退室する様アナウンスしている。
私は愛姫さんに名刺を渡し、取材であった旨を伝えた。
あまり長話する時間も無いので、後日コスプレSNSのメッセージで詳しいお話をさせて頂くと約束し、私も会場を後にした。
その後、私はD氏と2人で会場近くのビアバーで軽く呑んでから帰宅した。
何とも濃いイベントだった。少々疲れた事も有り、その日は早く布団に入った。
後日談
その後、会場で取材や撮影をさせて頂いた多くのレイヤーと、私はSNSやTwiiterで繋がった。
その内の何名かとは、今後に個人撮影を行う話にもなっている。
Webを通して取材を継続した結果、少々意外な事実も見えてきた。
特別人気の有るサークルは別として、R指定の有無に関わらず、イベントでの売り上げに大差は無いのだ。
そして、その金額は思っていたよりも少ない。
撮影に掛かった経費、衣装代やスタジオ利用料を差し引いた利益は大した額ではない。
勿論、一度のイベントのみで売り切る事は無い為、トータルで考えればソコソコのお金にはなるのだろうが。
ROMを販売しているレイヤー達に関しても、「儲けたいからROMを作った」なんてコは殆どいない。
「友達がROMを作っていて影響された」とか、「若いうちに奇麗な姿を残してそれをみんなに見て欲しいから」という動機が圧倒的に多かった。
冒頭でも書いたが、今のコスプレ業界は、「コスプレを楽しむ」と言うよりは、「コスプレ写真を撮り、ソレをWeb上に公開する」ことが主目的となっている。
こうした風潮の中、ROMを制作するレイヤーが増えるのは自然なことなのかもしれない。
本レポートを読み、こうしたイベントにカメラ片手に足を運ぼうと思った方もいるだろう。
だが、一つだけ勘違いしないで欲しい事が有る。
『全ての女性レイヤーが、男性の下心を抱いた目線を受け入れられる訳ではない』
むしろ彼女達は少数派と言える。
コスプレイベント自体も殆どの場合、「露出規制」なるものが存在する。
ロムコミの様に、「どんなコスプレをしてもOK」というイベントは稀だ。
既にコスプレですらない過激な露出もあったが…(笑)
「イベント会場に露出系のコスをしたレイヤーがいなかった!」
「写真撮影を頼んだのに、断られて一枚の写真も撮れなかった!」
そんな苦情は一切受け付けません。
ちゃんと事前に下調べをして、参加するイベントを選んで頂きたい。
余談だが、全年齢向けのオールジャンルイベントになると、JC・JKレイヤーも多数参加している。
露出は期待できないが、別の楽しみ方は有るだろう。
私の様な40代半ばのおやぢが、娘ほども歳の離れた少女と「友達」になれるのがコスプレの世界だ。
ただし、オトナとしての節度はきっちり守り、くれぐれも女性レイヤーが嫌がる行為は絶対にしないで頂きたい。
「コスプレ沼」という言葉が有る。文字通り、コスプレ業界はハマるとなかなか抜け出せないほど楽しいのだ。
自制できる方限定だが、この沼にハマってみようという勇者を私は歓迎する。
次回の『ロムコミ13』は6/21(日)に開催が決定している。
資料によると、今回の倍の広さの会場で開かれるとのことだ。
より多くのサークル参加が期待できるだろう。私も参加するかもしれない。
もし会場で私を特定できた方は、缶コーヒーの差し入れをお願いしたい(笑)
かなりの長文となってしまったが、これにて名古屋のコスプレROMイベント、『ロムコミ12』のレポートを終える。
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