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友人が出会い系で拾ってきた「追われている女」

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友人が出会い系で拾ってきた「追われている女」
執筆者26歳の男性

 友人の吉田が出会い系で拾った女のせいで、色々と面倒な事に巻き込まれた。
 僕が吉田にその女を紹介されたのは半年ほど前のことだった。彼は大学で一緒だった男で、何となく気が合い卒業後も時々飲みに行ったりする仲だった。

お前んちのアパートに空き部屋はないか



 女の名前はかおりと言った。どう見ても30代半ばくらいにしか見えないから、吉田より10歳も上になる。

「お前、年上好きか?」

 僕はかおりに聞こえないように言った。

「いや」

 吉田は苦笑いしている。

 僕も吉田の気持ちはよく分かる。
 かおりは肉感的な女だった。白くて透き通るような肌をしている。プロポーションもいいし顔もまあまあだし、それに何と言っても胸が大きい。
 Eカップくらいありそうな胸は、かおりが笑うだけで悩ましく揺れるのだ。

 吉田がこの女を抱いてみたくなったのも無理はなかった。僕だってもし出会い系でこの女と会ったら、何が何でも口説き落としたに違いない。
 かおりはそれほど男受けのする体をしていた。

 吉田は僕に頼みがあるという。

「お前んちのアパートに空き部屋はないか」

 僕の親はアパートをいくつか持っていて、僕もその中の1つに部屋を借りている。
 とは言っても親から借りてるわけで、家賃は全然払っていないのだが。

「空き部屋ならあるよ。俺の部屋の隣が空いてる」
「良かったー」

 吉田は飛び上がらんばかりに喜んだ。

「そこ、借りられないか。もちろん家賃は払うけど、敷金と礼金をまけてもらえるとありがたい」

 吉田が手を合わせて僕を拝む。

(なるほど、この女を住まわせる気だな)

 僕はピンときた。

「いいけど、何に使うんだ」

 ちょっと意地の悪い質問をする。

「いや、ちょっとな」
「あの…それ、私がお願いしたんです」

 かおりがそう言って立ち上がり、僕のほうに近づいてきた。
 僕たちは公園のベンチで話をしていたが、数メートルも離れていないところに女が座っているから、会話は全部聞こえている。

「分かった。親に頼んでおく。明日からいつでも越してきていいから」

 僕は2人にそう約束した。

あの女、ちょっとヤバイかもしれん



 家に帰って親に事情を話す。もちろん全部言うわけにはいかないが、隣の部屋を知人に貸したいから、敷金をナシにしてくれと頼んだ。不動産屋を通さないから礼金もかからない。

 僕の親はあまり詮索したりしない。放任主義というのか、僕がすることに干渉しないのだ。
 父親は、「そうか」と言っただけで承諾してくれた。

 早速不動産屋に行って隣の部屋の鍵を預かってくる。後はそれを吉田に渡すだけだ。
 吉田に電話すると、すぐに鍵を取りに来た。

「ありがとう」

 敷金と礼金がいらないことを話すと、彼はこれまでに見せたことのない笑顔で帰って行った。

 翌日、かおりは僕が出かけている間に引っ越してきていた。
 たぶん吉田も手伝ったのだろう。
 夕方、玄関のインターホンが鳴ったのでドアを開けると、かおりが立っていた。さわやかな柑橘系の香水が鼻をくすぐる。

 かおりは安く借りられたことのお礼を言って、これからよろしくと挨拶した。

 翌日、吉田がやってきて隣の部屋に招かれた。中はまだ片付いていなかったが、家具などはあまりなかった。
 かおりが寿司を取ってくれて、3人でビールを飲んだ。吉田はそのまま泊まって翌朝帰ったようだ。

 それから吉田はかおりの部屋にたびたびやってきては、僕の部屋にも顔を出していたが、半月も経つとパッタリ姿を見せなくなった。

 かおりが越してきて1ヶ月くらい経った頃、夜中に隣のドアが乱暴に閉まる音で目が覚めた。しばらく男女の話し声が聞こえていたが、やがて何も聞こえなくなり、5分ほど経つとベッドが軋み出して、同時に女の喘ぎ声が聞こえてきた。

(吉田の奴、こんな時間に何してるんだ)

 僕はそう思いながら眠りについた。

 それから数日後、今度は昼間に話し声が聞こえてきた。男と女が言い争っているような声だったが、男の声は吉田ではないようだ。

 僕は吉田の携帯に電話をかけてみた。

「どうした」

 電話に出た吉田のバックに聞こえるのは、街の雑踏の音だった。

「お前、どこにいるんだ」
「駅前だよ」

 どういうことか分からない。隣の男の声は誰なんだ?

「隣に誰か来てるんだな。俺はもうかおりとは関わらないことにしたから。お前もそのほうがいいぞ」
「意味が分からないんだけど」
「あの女、ちょっとヤバイかもしれん。俺もよく知らないんだけど」

 要領を得ないまま、吉田の電話は切れた。

あいつらのことは知らないほうがいい



 そしてその日の夜、事件が起きた。
 午後8時頃だった。インターホンが鳴ったのでドアを開けると、かおりが立っていた。顔が青ざめている。

「あの、ちょっと中に入れてくれませんか」

 かおりは落ち着きがなく、しきりに階段のほうを気にしていた。

 アパートの2階には部屋が5つある。僕の部屋は一番端で5号室、かおりの部屋は4号室だ。そして、1号室のそばに下から上がってくる階段がある。
 かおりが見ていたのはその階段の方角だった。

「どうぞ」

 ただならぬ様子に、僕はとにかく彼女を中に入れた。

「電気消して!」

 かおりは声をひそめて言うと部屋の隅にうずくまった。明らかに誰かに追われている様子だが、彼女はたった今自分の部屋から出てきたはずだ。

 ということは、誰かが来るのか。僕はいつかの言い争う声と、夜中に聞いたかおりの喘ぎ声を思い出していた。おそらく、かおりが恐れているのはあのときの男だろう。

 かおりは隣に住んでいても、吉田の彼女だから僕にとっては遠い存在だった。それがこうして部屋に入れたことで、急速に彼女との距離が縮まるのを感じた。

 果たして、3分もしないうちに階段を上がる靴音が聞こえてきた。
 靴音は1人ではなかった。2人。いや、3人か。
 歩きながら何か話しているようだが、会話は聞き取れない。

 かおりの部屋の前で靴音が止まった。
 男たちは、インターホンを押して返事がないとドアを叩き出した。

「いねえのか」
「さっき電話したときはいたんだからな。逃げる暇はないだろ」

 男たちは口々に叫んでいる。かおりは顔を伏せたまま膝を抱えていた。

 2、3分経つと、男たちは引き上げた。僕は喉がカラカラになっていた。

「帰ったよ」

 少しひきつれた声でかおりに言う。

「離れたところで見張ってるかもしれない」
「誰なの、あいつら」

「知らないほうがいい。それより、今夜ここに泊めてくれない?」

 そう言ってかおりがしがみついてきた。震える体を抱きしめると、柑橘系の香りがした。

 かおりの唇は柔らかかった。どちらからキスしたのか分からない。気がついたらキスしていた。僕たちは夢中で唇を吸い合った。

 さっきの事で、僕もかおりも異常な興奮状態だった。前戯もなしでカーペットの上に押し倒すと、僕はかおりの下だけ脱がせて一気に挿入する。

 僕は最初から激しく突き上げた。かおりは喘ぎながら、助けを求めるようにしがみついてくる。
 真っ暗な部屋の中で、荒い息遣いと喘ぎ声だけが聞こえていた。

 かおりの喘ぎ声が大きくなってきた。背中に回した手に力が入る。
 セックスは久しぶりだったから、僕はすぐに気持ち良くなってきた。

「もう出ちゃうよ」
「今日は大丈夫、そのままでいいよ!」

 かおりがそう言って足を絡める。僕はまだかすかに震える彼女の中に、勢いよく射精して果てた。

 男たちの正体は今も分からない。

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