執筆者30代半ばの元デリヘル嬢
デリヘル嬢時代、色んなお客様との思い出があった。
楽しい事も嫌な事も、今となっては懐かしい思い出であり、私の経験という宝だ。
中でも印象深いおじいちゃんがいた。
キスなんて絶対に嫌だ…
指名で呼ばれて初めてお会いした日。
年金暮らしのおじいちゃんは、少ないお小遣いの中で遊びに来てくれた。
正直な第一印象は、『加齢臭がキツイなぁ…立つんだろうか!?』だった。
70歳は超えたおじいちゃんの加齢臭、何だか懐かしい匂いがした。
自分の祖父を思い浮かべてしまう。
おじいちゃんは私を見て、「こんな綺麗な人が来てビックリした。ワシでええだか」と喜んで下さった。
子供の様に無邪気で可愛かった。
『お年寄りだから、まずはお話でもするのかな?』とコーヒーを入れたが、直ぐに風呂に入ろうと急かされ、お風呂へ。
骨と皮だけのガリガリなおじいちゃんに対し、ぽっちゃりで肉付きのいい私。
対照的過ぎて、いつも以上に裸になるのが恥ずかしかった。
(とても私はこのおじいちゃんとHな雰囲気を楽しめる自信はない…キスなんて絶対に嫌だ…)
心とは裏腹に笑顔を努め、体を洗って湯舟に浸かり、ベッドへ。
おじいちゃんは「寝ちょって下さい」と私を寝かせて、下半身を舐めたり、指を出し入れしたり。
濡れてないのに指入れはキツイし、どうしても脳がHな反応をしない。
私は69を提案し、おじいちゃんの小さなち○○をしょぽしょぽ舐める。
(こりゃ立たないな…)
でもしばらく舐めていたら、「あっあっああ~」と声を出した。
(ちょっと何か…出た!お口に!)
お年寄りのお相手は何度かしていたけれど、きっと最高齢だろう。
まさか射精するとは思わなかったので、驚きを超えて感動した。
スタートから20分ほどであっけなく出てしまったので、その後は裸のままベッドでお話。
おじいちゃんは戦争の話をして下さった。
内容は覚えていない(笑)
ただ、お年寄りの話をじっくり聴ける事なんてないから、有り難く聴かせてもらった。
シャワーを浴びてお別れの時間。
おじいちゃんは「また来るから」と言って下さった。
「はい♪またお待ちしてますね♪」
そう言って別れた。
次のお客様がお待ちなので先に帰らせてもらいます
それから数日後、またおじいちゃんは来てくれた。
(確か年金が出たら来るからと言っていたのに…奥さんもいるのに…)
私はちょっと心配してしまった。
そして前回より呆気なく時間は過ぎていった。
私の悪いところは、来店2回目の方に気を抜いてしまう事だ。
(次はないかもな~)
そう思っていたら、またひと月空けずのご来店。
デリヘルは決して安い遊びではない。
年金暮らし、しかも新聞屋さん、そんなにお金持ちとは思えない。
(お金、どうやって工面してるんだろうか…)
そうは思っても仕事だ。
相手の心配をしても仕方がない。
私はお客様に満足して頂き、その対価を得るだけ…。
いつも通りの60分コース。
事が終わり、一緒にホテルから出る。
精算機の前で、「金がない」と言い出すおじいちゃん。
その日は連休の特別料金で、いつもより少しだけ高くなっていた。
「いつも払う料金しか持ってきてない」と困り果てるおじいちゃん。
「お金を貸してくれ」と言われたが、当然できるはずがない。
私は財布もなく、頂いた売上金しか手元にないからだ。
念のため店に電話したが、「貸す事はできません。次のお客様がお待ちですから鍵を開けてもらって出て来て下さい」と店長に言われ、ホテルの従業員と相談。
免許証を提示して小さくなっているおじいちゃんを置いて、先にホテルを後にした。
ちょっと胸が痛んだ。
「次のお客様がお待ちなので先に帰らせてもらいます、ごめんなさい」
普段、次にお客さんがいる事は口にしない私だが、言葉が見付からずにそう言ってしまった。
その日以来、おじいちゃんが私を指名する事はなく、それから数ヶ月後に私は卒業した。
あの時、手元にあった、自分が貰える指名代の千円をおじいちゃんにあげれば良かった…。
私は正直、遊びに来るのにギリギリのお金しか持っていなかったおじいちゃんに呆れたのだ。
沢山の稼ぎがあったあの頃、人の為の千円をケチった自分が情けなくて忘れられない。
おじいちゃんが忘れられないと言うよりは、見た目を綺麗に見せかけていても、中身は汚く、本当の優しさを持ち合わせていなかった自分をだ。
今の私はどうだろう。
困った人を、自分の利益抜きで直ぐに助ける事ができるだろうか…。
人の目がなければできないかもしれない…。
人が見ていない時にこそ、その人の真価が問われる気がする。
苦い思い出だ。
おじいちゃん…また元気に懲りずにデリヘル遊びをしているだろうか。
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