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【私は人妻デリヘル嬢】第16話.残酷なお知らせ

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【私は人妻デリヘル嬢】第16話.残酷なお知らせ
シリーズ物【私は人妻デリヘル嬢】

読者投稿40代後半の女性

 SNSでの交流が順調に上手くいっていたのに、突然アカウントを停止されてしまった。
 運営からメールが来ていた。プロフィールの内容がSNSに相応しくないため、アカウントの停止に至ったという。

 仕方なく内容を書き直す。お店のサイトのアドレスも表示できず、表立った顧客誘致もできなくなった。
 デリヘル嬢であることは書けるようなので、『私に興味ある方はメールください』という形にした。精一杯の妥協だった。

無くなったエアシューター



 パネルを見たのか写メ日記を見たのか、また指名を頂いた。
 駅での待ち合わせ派遣。待ち合わせ場所は宮島の近く、大野浦駅。思い出の詰まった場所だった。

 昔付き合っていた不倫の彼と逢っていたのが、大野浦駅近くのラブホだった。彼が半休を取った日は朝から逢って愛し合い、お昼過ぎに出勤していた。
 愛の詰まった場所に、もう行くことはないと思っていたのに。

 複雑な思いで、夕方のラッシュアワー直前の電車に乗った。
 宮島への修学旅行生でいっぱい、お腹は痛くなるし人酔いするしで散々だった。

 薄暗い中、大野浦駅に着く。
 ホームを歩く。全然変わってない。この階段、彼が私のミニスカの中が見えないようにとバッグで隠してくれた場所だ。なんでこんなに切ないんだろう。

 駅を出てお客さんと合流する。駅の近くには2軒ラブホがあったはず。どこに行くのだろうと緊張しながら車に乗り込んだ。

 17時を過ぎていたので、ラッシュアワーの渋滞ができていた。またお腹が痛む。下痢止めと安定剤をこっそり飲んだ。まだ仕事は始まったばかりなのに、私は異様な緊張感に戸惑った。

 ゆっくりゆっくり車が動く。
 ヘッドライトが並ぶ道から横に入る。そこは思い出の場所だった。

 すーっと滑るように、ラブホの駐車場に入っていく。
 車を降りてエントランスを通る。

(変わってない。彼と一緒に来たかったな)

 そう心に秘めて部屋に入る。

 歯磨きうがい、シャワーを済ませてプレイに没頭する。
 感じさせることに集中する。体をまさぐり、性感帯を探す。
 今の私はデリヘル嬢。快感をたくさん引き出したい。お客さんの感じる顔が見たいから、私は頑張る。

 お客さんがイッて、一緒にシャワーを浴びている時に気づいた。昔あった料金を払うエアシューターが無くなっていて、自動支払機になっていた。

「あっ…エアシューターなくなってる…昔ここはエアシューターで払ってたんですよ」

 思わず言葉が口をついて出た。「彼とよく来てたんです」とは言わなかった。

 駅まで送って頂いて、一番ホームで電車を待った。
 二番ホームで出勤する、電車を待つ彼を思い出しながら、斉藤由貴の「卒業」を聴きたくなった。

一体どうしたものか



 すっかり秋も深まったある日。
 私はブースに貼られた一枚の紙を見て愕然とした。



【お知らせ】

皆さんの実績などを鑑みてランク付けをすることとなりましたのでお知らせします。
指名リピーターの実績の他に、容姿も加味されます。
髪型やメイクもランク付けの対象となります。
お客様にとって見た目は大切です。自分を磨いて接してください。



 どうしよう。やっぱり見た目重視なのか。今までやってきたことは見てもらえないのか。

 私はメイクをいくら濃くしても、薄い顔立ちが変わらない。アイシャドウをいくら塗っても、一重まぶたではそれが全て隠れてしまう。
 つけまつげを盛っても大して変わらない。プチ整形しかないのだろうか。

 髪型も中途半端なセミロングで、色っぽさが出せるロングには程遠かった。
 いっそウィッグでも買って被ろうか。でもシャワーの時に髪を上げたら、ウィッグだとバレてしまうかもしれない。

 一体どうしたものか。
 体型も一気には痩せられない。プチ整形だってお金がかかる。下着もこのお仕事の稼ぎでやっと買えた。とにかくお金がない。プチ整形なんて夢のまた夢だ。

 何をどうしていいのか。
 私は途方に暮れた。

第17話募る不安、疑惑の夜勤

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