俺は新潟の自動車教習所にいる。1人での合宿だ。
俺の誕生日が早かったため、友達と一緒には行けなかった。
部屋はペンションの3人部屋、女の子の部屋もあるみたいだ。
同じ部屋の人は友達同士の2人組で年上、ギャル男だった。
自己紹介後に話をしていると、何とかやっていけそうだ。
俺は単車の免許を持っていたため学科は免除される。
毎日2時間の実技をするだけだが、初めての教習だ。
俺「よろしくお願いします!」
教官「俺くんだね、よろしくお願いします。君は適性検査の結果すごいね、両方とも最高ランクじゃないか」
教習所に入校した際にする適性検査だ。
四角の中に時間内に文字を書いたり、枠をはみ出さないように書いたりする問題があったのを記憶している。
数字とアルファベットで評価され、両方とも成績が良かった。
俺「運転するためにこの星に生まれてきたみたいです!」
教官「なんだそりゃ(笑)」
掴みは良かった。
教官「じゃあミラーとか調整して、自分のタイミングで出発していいよ。まずは内輪差の確認をしよう」
俺「分かりました」
教官「うん?運転したことあるの?」
俺「家の畑で軽トラを乗り回してました」
教官「これは教える方も楽でいいわ」
俺はこの教官と非常に仲良くなった。
仮免を付けて走る路上教習の時も、
教官「俺~右にあるのが俺がよく使うラブホだ」
俺「右に曲がりまーす」
教官「おいちょっと待て、男と行ってどうする(笑)」
俺「教官の女の子が待ってるのかと」
教官「待機させんわ(笑)」
終始、和やかに教習が進んだ。
学科が無い俺はかなり時間が余っていた。
しかし、余った時間の使い道は決まっていた。
俺には目標があった。この合宿中にスノボを滑れるようになりたかった。
よく女の子からスノボに行きたいと誘いがあったが、カッコ悪いところは見せたくなかった。
時期は春だが、新潟ではまだ滑ることが出来た。
俺は時間が空くと、ペンションのレンタルスノボを抱えてスキー場に送って行ってもらった。
何回も何回も転んで手首と尻がくそ痛かった。
教えてくれる人もいなかったので、1人でずーっと練習していた。
リフトの乗り方も分からないため、ボードを抱えて徒歩で登っていた。
リフト代は高かったからちょうど良かったが、毎日足がボロボロだった。
ちょっとだけ話を聞かせてくれませんか?
毎日クタクタで、教習所へ実習に行く時は大体待合室で寝ていた。
起きると横に女の子がいた。
何回か教習所で見たことがある。
女「ぐっすり寝てましたね」
俺「え?あ、あぁ」
寝起きで何を話したらいいか分からなかった。
女「疲れてるんですか?」
俺「スノボ練習してて、疲れてるんだ」
女「新潟の方じゃないんですか?」
俺「○○だよ」
女「合宿なんですね、私は通学でここが地元なんです。いつか○○に行ってみたいのでどんな場所か教えてもらっていいですか?」
俺「いいけど、ごめん。教習の時間だからまた後で」
女「はい、待ってます。また後で」
女の外見は中の中位だった。
教習が終わると待合室には女がいる。
周りに友達っぽい人が4人位いた、2人は男だ。
話しかけづらいし帰ろうと思ったが、「待ってる」って言ってたので挨拶だけはしていこう。
俺「お疲れ様、疲れちゃってペンションに帰るね」
女「お疲れ様です、ちょっとだけ話を聞かせてくれませんか?」
俺「みんなで?」
俺は周りの友達っぽい人を見る。
なんか男の1人が、俺に敵対心丸出しなんだけど。
女「いや、友達は帰ります。教習が終わるまで待っててもらったんです」
女の友達は帰って行った。
俺「あの人、彼氏?」
女「どっちですか?」
俺「黒い服着てた方」
女「あー違いますよ、学校が一緒なだけです。結構前に告白されて、彼氏いないけど振っちゃったんです」
俺「だからか、敵対心丸出しだったからさ」
女「えー!本当ですか?ごめんなさい、叱っておきます」
俺「いや、話がこじれそうだから止めといて」
話を聞くと、女は一個上だった。
そりゃそうだ。あんだけの友達が教習所に来ているのだからタメなはずがない。
俺「ごめんなさい、タメかと思ってたから、タメ語で話してました」
女「いいんですよ、タメ語の方が地元の言葉が聞けて面白いです」
俺「自分も方言知りたいのでタメ語にしましょうか」
女「そうですね、今からタメ語にしましょ、よーいスタート~」
俺達はお互いの地元について話し合った。
俺が疲れて寝てしまいそうになったので、その日はペンションに帰った。
(今日はスノボを練習出来なかったな~)
同室のギャル男に酒盛りに誘われて飲むが、いつの間にか俺は泥のように眠り込んでいた。
どうしてもすぐ転ぶ…どうしたらいいんだ
次の日、俺は午前中で教習が終わる。
(昨日は練習出来なかったし、今日は練習頑張るぞ~)
待合室には昨日の女がいた。
女「俺さん、話をしましょ!」
俺「ごめん、今日はスノボを練習したいんだ」
女「どこで練習してるの?」
俺「名前なんだっけなー、いつもペンションの人が連れて行ってくれるから覚えてない」
俺達は待合室に張られている卒検用の地図を見る。
俺「ここがペンションだから、多分ここだわ」
女「あー、よく行ってた!スノボ教えようか?」
俺「滑れるの?」
女「当たり前ですよ、このへんの若い人は大体滑れるよ」
俺「俺下手くそだから、多分女がつまらないと思うよ」
女「だからこそ教えるの」
正直、全然上達しないし行き詰まっていたので嬉しかった。
俺達は待ち合わせ場所を現地集合で決めた。
女は今日の教習をキャンセルしていた。
ペンションの人に待ち合わせ場所に連れて行ってもらった。
まだ女は到着しておらず、俺は準備をして1人で練習をしていた。
(どうしてもすぐ転ぶ…どうしたらいいんだ)
女「あ、いたいた!ってかもうウェア真っ白じゃん(笑)」
俺「どうしても転けちゃうんだよね」
女「よし、教えがいがありそうだ!リフト券買ってくるからちょっと待ってて」
(えっ?リフト乗るの?)
俺「ちょっと待って、俺、リフト乗ったこと無い」
女「え?じゃあどうやって練習してたの?」
俺「徒歩で登って、あの辺から滑ってた」
女「それじゃあ上達しないよ~買いに行くよ」
半日券を買った。教えてもらうのだからここはさすがに奢る。
女「別に奢ってくれなくていいのに~、でもありがとう」
俺「教えてもらうんだから、これくらいはさせてくれ」
女「じゃあリフトで頂上まで行こう!」
俺「いきなり頂上か!ちょっとボード付けるから待って」
女「あ、俺さんはボード付けない方がいいよ。滑れないうちは焦って転けて怪我するからボード持ったまま乗りな」
(ほう、そういうものなのか)
リフトに到着する。
ボードを外しても緊張する。この靴が非常に固くて歩きづらいから転びそうだ。
俺「なんかリフト早くね?転けたらどうしよう」
女「大丈夫だって、転けないように手繋ぐ?」
俺「そしたら今度はボード落としそうで怖い」
女「今、座って」
俺は女のエスコートのおかげで、なんとかリフトに乗ることが出来た。
俺「ねぇ、手すり無いんだけど」
女「上だよ、あの棒を下ろして」
俺「ああ、これ下りるのか」
頂上に近付く。手すりを上げ、女の合図で足をつき、急いでリフトから離れる。
リフトを止めずに降りることが出来た。
先生、今日はなんか奢らせてください
頂上に着いた俺は唖然とした。目の前に地平線が見える。
俺「ちょっと、急角度過ぎない?」
女「大丈夫、スピード出そうになったらお尻から転けて。とりあえず何が悪いか見るから滑ってみて」
俺「マジか、やってみるわ」
ドキドキするが、滑ってみるしかない。
数メートル進んだ所でスピードが出始めた俺はすぐに転ぶ。
立ち上がって滑るが、また怖くなり転ぶ。
女が滑ってくる。
女「分かったよ、転ぶこと前提に考えてるでしょ?立ってみて」
俺は立ち上がる。
女「ちょっと触るよ」
そう言うとケツを触られる。
俺「おお、どうしたいきなり」
女「(笑)いいからこのまま滑ってみて」
女の言う通りに滑る。
滑ると同時にケツを押される。
(うん?なんか転けそうにない)
滑りながら説明される。
女「あと、足の力で曲がろうとしてるから、こうすると曲がれる」
さらにケツを押される。
(おお、曲がった)
女「怖がってずっと重心が後ろだから倒れるの、この感じを覚えて」
俺はめちゃめちゃ感謝した。
俺「ありがとう!こんなに転けないで滑れたのは初めてだよ!」
女「ふふ、良かったね。じゃあ今度は自分で滑ってみて」
俺は言われたことを意識しながら滑る。
スピードが出ると転ぶが、確実に今までより滑れている。
その後、何度も転びながら練習して、ようやく人並みに滑れるようになった。
俺「先生、今日はなんか奢らせてください」
女「別にお礼なんていいよ」
俺「いや、奢らせてくれ。今日は凄く気分がいい」
女「じゃあご飯ごちそうになろう、店は私決めていい?」
俺「そりゃあもちろん!でも1万超えるとキツいな~(笑)」
女「このへんにそんな高い店ないから(笑)」
俺達はそれぞれの迎えの車に乗った。
時間を決めて、教習所で待ち合わせをすることにした。
新潟にいる間、私を彼女にしてくれない?
ペンションに着いて着替える。
同室のギャル男に話しかけられる。
ギャル男「スノボ以外で出かけるの珍しいじゃん、コンビニ?結構遠いぜ」
俺「いや、ご飯食べに行くんです」
俺はそそくさと部屋を出た。
教習所は近かったが、コンビニは遠かった。
教習所で女が到着するまで待つ。
春とは言え、寒い。
(早く来てくれー)
そう思ってたら女が来た。
いつもと違う服装だ。
ちょっと露出していて、胸は谷間が見える。
(結構大きいんだな)
女は自転車で来ており、後ろに乗るよう促される。
俺「あぁ、俺がこぐよ」
二人乗りをして言われる通りに進むと、某ファミレスに着いた。
席に着いて上着を脱ぐと、やはり谷間がある。
禁欲生活だったこともあり、ムラムラする。
俺「ファミレスじゃなくても良かったのに」
女「よく来てて、好きだからいいの」
俺達は料理を食べながら雑談をしていた。
女「俺さんは地元に彼女いるの?」
俺「いないよ」
女「欲しいと思わないの?」
俺「今は遊んでるから欲しいとは思わないな~」
女「でも新潟に来てからは遊べてないでしょ?」
俺「まぁね、でも免許とスノボのために来たから仕方ないよ。スノボも多少滑れるようになったし満足はしてるよ」
女「そっかー…新潟にいる間、私を彼女にしてくれない?」
俺「え?…どうゆうこと?」
しばらく沈黙する。
女「言葉通りだよ」
俺「俺、予定ではあと数日で帰るよ?」
女「うん、その間だけ」
俺「それでいいの?」
女「充分。めんどくさい女にはならないから安心して」
俺は悩むことなくオッケーした。
その日は遅かったこともあり、そのまま帰った。
さよならだけど、いつか遊びに行くよ
次の日、俺達は教習所で話していた。
女「せっかく付き合ったんだから、どっか行こうよ」
俺「この辺にカラオケないの?久しぶりに歌いたいんだけど」
女「あるけど、良いところじゃないよ?今日行く?」
俺「おお、あるのか!行く行く!どんなとこでもいいよ」
俺達は教習後に自転車でカラオケに向かう。
女「ここ」
ビックリした。
そのカラオケは外にあり、部屋は個別のコンテナになっている。
受付もコンテナだった。
受付を済ませ、部屋番号が書かれたコンテナに入る。
中は広かった。普通のカラオケボックスの2倍はありそうだ。
久しぶりのカラオケで嬉しかった俺は、しばらく熱唱する。
女「歌うの好きなんだね」
俺「うん、カラオケはよく行く。それにしてもコンテナはビックリしたよ!予想外だった」
女「ここのカラオケは、みんなラブホ代わりに使われてるの。カメラも窓もないでしょ?扉は内側から鍵かけられるし」
俺「あぁ確かに…」
オナ禁中の俺は、すぐにフル勃起する。
女「俺はしたいと思う?」
俺「そりゃあ、新潟来てずっと禁欲だからしたいと思うよ」
女「私はいいよ」
久しぶりということもあり、即座に激しくキスをする。
ソファーではなくステージでセックスをした記憶がある。
詳しい描写は覚えていない。
付き合ってる間、セックスしたのはその日だけだった。後はスノボを2人で楽しんでいた。
数日後、俺の卒業検定の日だ。
女「落ちろー落ちろー」
俺「緊張するから、やめてくれ(笑)」
落ちたら次の日まで泊まることが決定する。受かれば今日中に帰れる。
卒業検定は俺の他に2人。
同じ車に乗り込み1人目が運転する。緊張しているのが伝わってくる。ミスをして教官にブレーキを踏まれている。
(あの人は多分落ちるな。ヤバい、俺も緊張してきた)
次は俺の番だ。卒検の道は覚えていたはずだが、運転しながら不安になる。大きなミスは無かったが、ゴールを忘れてしまう。
(あっ!ここだ!ゴールは!)
そう思って停めた場所は駐停車禁止マークの下、人の家の車庫前だった。
やっちまったと思った。
教官「あと数メートル先に走らせて。あそこなら大丈夫だから」
俺「はい…」
教官「駐停車禁止標識は見えてた?」
俺「見えてませんでした。停めてから気付きました」
終わったと思った。
待合室では女が待っていた。
女「どうだった?」
俺「多分落ちたわ、途中までは良かったけど最後に駐停車禁止で車停めちゃったわ」
女「まじかーまだ結果は分からないし、落ちても1日慰めてあげるから元気出しな」
卒業検定の結果が発表された。
俺は受かっていた。
俺「受かってた!大丈夫だった!」
女「良かったね、おめでとう!さよならだけど、いつか○○に遊びに行くよ」
俺「ありがとう、本当感謝してる」
女は俺を駅に向かうバスまで見送ってくれた。
色々なことを勉強できた合宿だった。
女は現在結婚しており、二児のママである。
最終話あいつのことは許してやるか
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