俺の初風俗はソープだった。
バイト先の店長のおごりで連れて行かれた。
衝撃的で感動した。
そして、何か大切なものを失ったような気もした。
だが当時10代だった俺は、何を失ったかなんて深く考えられなかった。
金さえ払えば、あんなことが出来る。
その思い出を反芻(はんすう)しながら何度も自慰をした。
もう一度行きたい。
しかし、店長に料金を聞いて驚いた。
「総額で3万円だよ」
(…たっけえ!)
料金を聞いてしまった以上、やすやすと店長に「連れて行け」とは言えなくなった。
そんなモヤモヤを抱えていた俺は、大学生だった。
「花びら大回転」ってなんだ?
ある日、大学の講義の合間に、喫茶店で悪友2人にソープ体験談を語り自慢していた。
1人は「女にモテない奴が行くところだ」と強がった。
もう1人は、俺と同じように既に経験していた。
そんな話で全員が興奮する中、喫茶店を出た。
繁華街を歩いていると、悪友が突然声を上げた。
「花びら大回転ってなんだ?」
視線の先には、電柱に取り付けられた立て看板。
そこに書かれていた、「花びら大回転」の文字と安っぽい女のイラスト。
何となく『風俗なんだろうな』と感じた。
(でも…何が回転するんだ…)
イメージ的には、女が騎乗位でクルクルと回転する図が浮かんだ。
料金は、昼間なら4,000円と書かれていた。
3人はその看板の前で立ち止まり、財布の中身を確認した。
そして1人が言う。
「次の講義、俺どうせいらない単位なんだよな」
「俺も」
「俺も」
花びら大回転とは何なのか。
俺達は、その知的欲求を満たさなければならない義務感に襲われた。
学生さんはね!頭の勉強だけじゃだめだよ!
看板の地図を見て目的地へ向かう。
その店はすぐに見つかった。
同じ看板が店前に並び、黒いスーツを着たおっさんが呼び込みをしている。
そのおっさんは不安げに見る俺達に気付き、すぐに声をかけてきた。
「抜いてくか!?学割で3,000円!」
かなり戸惑った。
風俗経験者は2人いるが、誰かしらに連れて行かれただけだ。
怪しい店なのかも判断がつかない。
しかしそのおっさんは、面倒見のいい近所のおっさんのようにどんどん話し掛けてくる。
「ピンサロだよ。ピンサロしらねーか!口でぱこぱこってな!本番なし!」
おっさんが口を開けて下品に頭を振るのを見て、俺達は苦笑いをするのが精一杯だった。
おっさんは続ける。
「学生さんはね!頭の勉強だけじゃだめだよ!こっちもな!」
俺の股間をぽんと叩く。
俺達は、既におっさんの話術に引き込まれていた。
「花びら大回転って何すか?」
悪友が核心を突く。
おっさんはニカッと笑って言う。
「女の子3人つくよ!入れ代わり立ち代わり!立つのはお兄さん達!」
(何だって!?)
(たった数千円で女3人と変なことが出来るのか!)
(つーか、そっちの回転か!)
断る理由は何も無かった。
おっさんは嬉しそうに
「学割3名!新規さーん!」
と、店内の男に俺達を受け渡した。
立っていると客の姿が丸見えに
店内では、俺達とそう変わらない歳の若い男が受付をしていた。
そこで「学生証を見せてください」と言われた。
躊躇していると店員が言う。
「あー、大丈夫ですよ。学割のための確認っすけど、本当は18歳未満じゃないかの確認ですから」
俺達は納得して、学生証を出す。
さらっと確認された後、料金説明を聞く。
学割が1,000円利くので、3,000円で遊べる。
だが4,000円を払えば、プレイ時間を50分にしてくれるそうだ。
結局4,000円を払った。
そして店内に案内される。
驚愕した。
会話が困難なほど大音量のBGM。
しかし、それよりも驚いたのは店内の造りだ。
安っぽいソファーと低い仕切りだけが並んでいる。
立っていると、遊びに来ている男達の後ろ姿が丸見えだった。
席に案内される途中、1つのソファーでは男女が69をしているのが見えた。
「ちょ……ちょっとまじか」
思わず独り言が出てしまった。
人の行為を生で見るのは初めてだった。
俺は軽くパニックになりつつも、
「こちら15番席でーす」
と案内された席に座る。
ソファーの前にある小さなテーブルにウーロン茶が置かれ、女性を待つ。
ふと周りを見ると、注意事項が書かれた紙を見つけた。
《本番行為罰金百万円也》
百万円という額が、小学生の言う「じゃあ、百万な!」と差が無いような気がしてニヤけた。
しかし、その他の空間は異常だった。
斜め左前の席では、無表情の女の子がおっさんに胸をただひたすら舐められていた。
前の席は空席だったが、その前の席ではおっさんと女の子が熱烈なキスをしていた。
異様な興奮と恐怖が入り混じった。
そして、俺自身も完全に起き上がっていた。
3枚の花びらが舞い降りた
突然、
「こんにちはー!よろしくお願いします!」
と女性が隣に座った。
俺が呆然と女性を見ると、
「若いねー!!嬉しい!」
といきなり抱きついてきた。
そして安っぽいキャミソールを脱ぎ、全裸で俺の膝上に跨がり始める。
すぐに俺の唇を奪い、首筋を舐める。
「脱いじゃう?」と耳元で囁かれ、俺も服を脱ぐ。
超スピード展開。
パンツを脱ぐと既に臨戦体制の俺。
「もうすごい元気じゃん。ちょっと、冷たいよ」と耳元で囁かれた。
おしぼりで綺麗に拭かれる。
ひんやりとしたおしぼりにくすぐったさを感じる。
そして手で軽くいじられながら、キスをされる。
俺が敏感に反応する様子を、女は嬉しそうに見ていた。
「……もう、1回抜かないと可哀相だね。舐めていい?」
頷く間もなく、女は俺の股間に顔を埋める。
全体を丁寧に舐められる。
何を考える間もなく、快感が忍び寄る。
俺の感覚が分かるかのような絶妙なタイミングで、女はくわえ込んだ。
女の上下する頭頂部を見て、『顔、よく見てないや…』と思いながらも簡単に果ててしまった。
俺から排出された物を口に含んだまま、女はおしぼりでマイジュニアを綺麗に拭いてくれた。
そして、新しいおしぼりに含んだ物を出した。
「いっぱいでたねー。気持ちよかった?」
俺が返事をすると嬉しそうに笑った。
そして、
「じゃあ、まだ楽しんでってね!」
と言って席を立った。
全裸のまま呆然としていると、すぐに次の女性が来た。
あまりタイプではない女性だったが、『短時間で2人の女性を相手にする』というシチュエーションに興奮して果てた。
そして3人目。
『さすがに無理だろ…』と思ったが、ねっとりした口淫に撃沈した。
女性は事を終えると、
「やっぱり若いねー!」
と俺に笑顔で言う。
その瞬間、店内放送が流れた。
「15番テーブル、3発達成ありがとうございます!」
パチンコみたいに言われた。
恥ずかしかった。
つーか、店員見てんのかよ。
いそいそと服を着て店を出た。
俺は腰をガクガクさせながら余韻に浸っていた。
同じくらいのタイミングで悪友2人が出てくる。
「どーだったー?」
俺が満足気に聞くと、1人は同じように3発抜いていた。
どこか誇らしげな笑顔をしている。
しかし…1人は1回も抜けなかった。
「あー、風俗初体験だったから緊張しちゃったんだな」
そう俺が慰める。
抜けなかった友人は声を荒げて言った。
「ちげーよ!!お前の真後ろの席で、お前のあえぎ声で集中出来なかったんだよ!!」
「つーか、俺ズボンとパンツだけ脱いでんのに、何でお前全裸なんだよ!」
「あと、こっち見んな!」
そのお店って今もありますか? 場所を教えて頂いたら行きます