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「係長、そのお店は危険です!」新宿歌舞伎町の風俗体験記

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「係長、そのお店は危険です!」新宿歌舞伎町の風俗体験記
執筆者年齢不詳の男性

 飲めばなにかと…きんたま自慢をしたがる先輩がいました。

 彼は風俗をこよなく愛していました。

 人は彼を「きんたま係長」、またの名を「ふーぞく係長」と呼んでいました。

 若い頃の私はきんたま係長に誘われ、よく風俗へ連れて行かれました。

 社会見学の一環として股をひろ…見聞を広げるため、嫌々ながら付き合っていました。

 毎年11月は社員旅行の季節、昨年の幹事はきんたま係長でした。

 行先は迷うことなく花のお江戸『東京』

「歌舞伎町に行きたいから」

 ただそれだけの理由でした…。

 行き先が決まった後のきんたま係長は、「おとなの特選街」という風俗雑誌を片手に、風俗対策会議を毎日のように開きました。

1.後悔しないお店選び

2.時間とお金の有効活用法

3.客引き対策

 主な議題はこの3つでした。

ここよりいい店紹介するよ



 そしていよいよ旅行初日。

 夜の宴会もほどほどに、私ときんたま係長は目的地へ向かいました。

 目指すお店は…





『ヌレヨンちんちゃん』





 会議でのシュミレーション通り、ほとんどロスなく目的地に到着。

 そしてお店のドアを開けようとした…まさにその時です。

「ちょっとちょっとお兄さんたち」

 魚市場のセリのようなダミ声に振り返ると、まるで大仏様のようなパンチパーマのオッサンが、ニッコリ微笑み立っていました。

「ここよりいい店紹介するよ」

 私ときんたま係長は

「話だけでも聞いてみよう」

という結論に至り、

「ここより安いしサービスも満点!モデルのお姉ちゃんいるよ」

との言葉に心奪われた私ときんたま係長、大仏について行くことにしました。

 しばらく歩くと「ホテルUFO」というラブホテルの地下へ案内され、前金で二万円支払った後、私ときんたま係長はそれぞれの部屋へと別れました。

 この店は、アルバムの中から好みのお姉さんをチョイスするというシステムでした。

 どれどれ…イヤッホーイ♪───O(≧∇≦)O────♪)

 大仏が言った通り、全員モデル級の品揃えです。

 色々と悩んだ末、今で言うと「菜々緒」みたいなお姉さんに決定。

 先っちょからは既に第一通過汁が出ていました。

 万が一の非常事態に備え、財布のお金を靴下の中に隠しました。



私の菜々緒ちゃんの声が…



 そして待つこと数分。

『コンコン』とノックの音がしました。

キッター♪♪♪(((o(*゚▽゚*)o)))

「お待たへひまひた~」

 ハア?Σ(゚д゚|||)

 可愛いはずの私の菜々緒ちゃんの声が…完全に酒焼けしています…。しかもサ行が空気抜け…。

 恐る恐るドアを開けました。

|ω・`)

 するとそこには…










 どう見ても60代とおぼしき歯の無いおばあさんが立っていました。










( ̄◇ ̄;)

 はい終ーーーーーーーー了ーーーーーーーーー!

 私の中で何かが崩れる音が聞こえました。

 抵抗したところで、きっと怖いお兄さんが出てくるだろう…。

 それならいっそ、このまま追加のお金だけ払えばダメージを最小限に食い止めることができる…。

 案の定お金を請求され、財布の一万円を巻き上げられました。

 靴下に隠しておいて正解です。

ただで帰るわけにはいかねー



 どうにか私は脱出に成功しましたが…気になるのはきんたま係長です。

 彼は私と違って素直に引き下がる性格ではありません。

 同じような老婆相手に、約束が違うやらなんやらと大騒ぎしている姿が目に浮かびます。

 きっと怖いお兄さんにボッコボコにされているに違いない…。

 私はホテル向かいの駐車場に身を隠し、「仲間がやられた!」と織田裕二ばりに歌舞伎町交番に電話しました。

「そういう所に行ったあんた等が悪い」

 おまわりさんにまでそう言い放たれ、私はどうすることもできず、膝を抱えてきんたま係長が出てくるのを待ち続けました。

 40分ほど経った時です。

 出口に人影が見えました。

 きんたま係長です。

 私は迷子の子供が親を見つけた時のように、きんたま係長に駆け寄りました。

 ン?(; ̄O ̄)

 目立った外傷も無いし…しかも心なしかスッキリした顔…。

 状況を聞いたところ、写真とは違う女性が来たそうです(ここまでは一緒です)。

 50代くらいだったそうです(私の相手より10歳ほど若いです)。

 クレームをつけたらしいです(想像通りです)。

 片言で「シハイニンヨブアルヨ」と言われたそうです(半分予想通りです)。

 きんたま係長は、「前金で二万円も払ってるしただで帰るわけにはいかねー」と言い放ち、目を閉じてアルバムのお姉ちゃんを想像しながら手コキで逝ったそうです。

 しかも二回。

 私は歯の無いおばあさんと二言三言話しただけで三万円、腹の虫が収まりません…。

 ふと脇を見ると放置自転車が…私は復讐を決意しました。

 フヌケ状態のきんたま係長を50m程先の安全な場所に避難させ、ホテルUFOの地下へと続く階段に放置自転車を思いっきり投げつけダッシュで宿まで逃げ帰りました。

 なんのための風俗対策会議だったのか…。

 反省もそこそこにきんたま係長、「不完全燃焼だった」と言い残し、眠らない街、不夜城新宿歌舞伎町へと再び消えていきました。

 向かった先は…そう、『ヌレヨンちんちゃん』です。

拝啓 風俗店・ライト風俗店経営者様へ

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