
高校を卒業した私は、とある専門学校に通うため、大好きな彼と離れたくないため、東京のN区に住むことにした。
その沿線の駅近くの居酒屋で意気投合したお兄さんがいた。
色々話してみると家がすぐ近所で、普段は音楽関係のお仕事をしているという。
私は「信濃町」というワードともう1つ、「バイトで『ホテトル』の送迎をしている」というワードに胸熱になった。
お兄さん(仮名:西山さん)は、男3人で一軒家を借りていて、暇があるとそこに行ってはゲームの相手をしながら飲んでいた。
ある日、「今日はホテトルの日だ」と言うので「連れてって!!!!」とお願いしたところ、社長の許可も下りて事務所に潜入することができた。
一応言っておくけど、私はただの野次馬で、どんな繁忙期に誘われようと、「1日最低3万約束する」と言われようと、その道に足を踏み込もうとは思っていない。
知ってるかな?
長い時間『ソープ』で働いているお姉さんって肘にシワがないんだよ。
「職業病なんだ」って言ってた。
マットプレイの時に、肘に全体重をかけて体を動かすので、気づいたらツルツルになっていたそうだ。
ホテトルと言っても、本当に風俗バージンの人はほぼいなくて、前職がソープだったり、ピンサロだったり、他のホテトルから流れてきている人がほとんどだった。
繁忙期の真っ最中だったこともあって、事務所にお姉さんが待機していることは少なかったけれど、西山さんの車の助手席に同乗させてもらって送迎に付き合っているうちに、お姉さんたちとも仲良くなれた。
ソープの「肘ツルツル話」も、あるお姉さんから教えてもらった。
その事務所に在籍している人に、黒髪ロングで華奢、透き通るような真っ白い肌のお姉さんがいた。
口数が少ない…というより、常に具合が悪そうな人だった。
人気のあるお姉さんで、1件終わるとすぐ次へという感じだったんだけど、いつもいつも薬を飲んでいるのだ。
たまに「ごめん…」と言って車を停めさせ、路上で嘔吐していることすらあった。
私はたまらず西山さんに聞いた。
「どうしてあの人、あんなに具合が悪いのにお客さんとってるの?」
「妊娠してるんだよ。どうしようもないヒモ男に惚れてて、その男への生活費と中絶するための金を稼いでるらしいよ」
いつも飲んでいる薬は、酷い悪阻を和らげるための薬だったのだ…。
そのお姉さんはお腹が目立つようになった途端、辞めて行った。
九州から出稼ぎのように上京してきたという別のお姉さんは、大切に思っていた人が刑務所に入ってしまい、愛想つかして逃げたくて東京に出てきたと言っていた。
そのお姉さんとは結構気が合って、プライベートでも遊ぶほどだった。
「彼女気取りでセックスしてあげたらそれで喜んでくれるから、ホテトルは楽~」
そう言っていた。
ソープみたいに色々な段取りを踏まなくていいし、『プロなんだから』って気構えしなくてもいいから、本当に楽だったみたい。
ただ、ホテトルもソープも同じなのは、自分で客を選べないということだ。
過去に問題を起こした「出禁男」でない限りは、客がお姉さんを選ぶことができる。
どんなに不潔っぽくても、生理的に受け付けなくても、客に見えないようにローションを膣内奥に塗り込み、感じるフリして恍惚の表情を浮かべながら相手をイカセなければいけないのだ。
私はちゃんと届けを出しているお店なら、ソープだろうがヘルスだろうが性感だろうが、働いてお金を頂いているお姉さんは“プロ”なんだと思う。
たとえ風俗でも、“プロ”にしかできない素晴しいテクニックを持っている。
競争が常の世界だから、努力や探究心は普通のお仕事のプロの人たちと一緒だ。
その辺の女が「プロ以上に上手い」と褒められたとしても、所詮は“素人”なのだ。
拝啓 風俗店・ライト風俗店経営者様へ

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