出会い系の男性には誘い方・落とし方を熟知している人は多いが、女性から誘われた時はどうするだろうか―。
私と会うのはやめたほうがいい
ローカルのお姉さんから「遊びたい」とお誘いがあった。
私がいかにキモいか、会ったら性的に危険かを伝えても、全く引く気配がない。
「人の多いとこなら大丈夫じゃん」と言う始末。
寝言いってんじゃねえええええええ!!
人が多い所で待ち合わせ。
↓
食事しながらの会話で警戒心を解く。
↓
お酒を飲ませ、気分を高揚、判断力を鈍らせる。
↓
「飲みすぎたんじゃない?ちょっと横になったら?」
↓
ホテルに誘導。
↓
ごっつぁんです。
三下でもできるんじゃあああ!!
こちとら朝飯前なんじゃあああああああ!!
元出会い厨なめんなああああ!!
世間(出会い系)を知らないにも程がある。
心を鬼にしてこんなメールを送った。
んーじゃあマジレスするね?
私はやられる覚悟がない人とは絶対に会いません。
実際にやるかやらないかは別。
覚悟の問題です。
あなたを裏切りたくはないし、傷つけたくも期待させたくもないんです。
私がその場の雰囲気に任せて好きだのなんだのって言わないとは限らない。
えっちいことがしたくなって「好き」って言わないとは限らない。
あなたが思う私のイメージ任せで会いたいって思うならやめたほうがいい。
頭おかしくてごめんなー。
我ながらひどいメールだ。
この日、姉さんからの返信はなかった。
ふっ、どんなもんだい。
じゃあ…今日会いますか?
翌日。
サイトを開くと新着メッセージの表示。
撃退したはずの姉さんからだった。
覚悟ってゆうか、会ってお互いにそんな気分になればそうなるんじゃないのー?
イメージは会ってみないとわかんないし、私が拒否られるかもしれないしさ^^
理解のある姉さん。
出会い厨にとっては女神のような存在だ。
だからこそ、この公害(私)と会わせるわけにはいかない。
直接的に示さず、なんとなく気づかせ、諦めさせるための“トドメ”のメールを送った途端、返信が来なくなった。
効果があったようだ。
「姉さんかわいそー」
「ちゃんと断ればいいのに回りくどいことして傷つけて」
「いい人ぶりたいだけだろう?」
「最低だな」
…“私”が私をなじる。
後ろめたさに押し潰されそうになった私。
こんなメールを送ってしまった。
じゃあ…今日会いますか?
なんちゃって。
もちろん、会うつもりなんてない。
冗談ではぐらかす、私の悪い癖。
姉さんにメッセージを送ったことで、少し気持ちが軽くなった私。
携帯を閉じ、仕事に戻ったのだった。
何やってんのこの人
その日の夜。
メドがつき、社内で日記の返コメをしながら帰る準備をしていた私。
メッセの確認をしようとTOPページに戻ると、新着メッセージの表示。
相手はあの姉さん。
2通あり、そこにはこう書かれていた。
17:09
わかったー!^^
じゃあ20時に天文館の○○の前ねー!
19:51
待ってるよー!^^
何やってんのこの人おおおお!!
行くなんて一言も言ってねえええ!!
ていうかまだ会社だし!もう20時過ぎてるし!
見切り発車どころじゃねええええ!!
そう姉さんに伝えると、こう返ってきた。
だよね;;
ちょ、泣かんでも。
私が冗談を言わなければこんなことには…分かったよ!会えばいいんでしょ!会えば!
まだ待てるー?
待ってるー^^
会ってやんよちくしょおお!!
こうなったらヤケクソだ。
仕事を片付け、夜の繁華街へと向かったのだった。
冒険しすぎだろ
だけど、面白かった。
会って早々、「今ライブが始まったとこなの」とバーに連れて行かれ、ラフな格好の人たちで埋め尽くされた中、スーツ姿のおっさんは私1人だけという完全アウェーでライブを観賞、「お腹が減ったから」とライブが終わると同時にバーを出て居酒屋に突入。
状況についていけない私に、「食べないの?あなたがお腹減ってるんでしょうが!w」とツッコミを入れながら串をつまんでいた。
なにこの出会い系。
聞けば社会勉強としてPCMAXに登録したらしく、実際に会う気はなくプロフもデタラメ、初めて会った男が私とのこと。
冒険しすぎだろうよ。
お開きになり、「歩いてきた」と言う姉さんに「近くまで乗せようか?」と言うとなぜか警戒された。
今頃かよ。
完全に毒気を抜かれた私。
手を出すことなく、言われた場所まで送り届けたのだった。
帰り際―。
「…ていうか、無謀すぎません?私から返事もないのに待ってるなんて。普通ならスルーされて待ちぼうけですよ、まったく」
「こうでもしないと会ってくれないと思って^^『待ってる』って言ったら来てくれるかなって^^」
まさか…分かっててわざと?
そう言って姉さんの顔を覗き込んだ私。
私を見て、ニコニコしながらこくんと頷いたのだった。
女はしたたかだ。
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