今までに俺が出会った、愛すべき『異常性癖者』にスポットを当てたシリーズ第5弾。
今回のレポートは厳密に言うと、「変態に出会った人に出会った」話である。
いいアルバイトあるんやけどやらへん?
Y君はフリーのコピーライターをやっていて、少しバカなところはあるが多彩な才能を持つ好青年。
以前彼と飲んだ時に、「昔やった珍アルバイト」という話で大いに盛り上がったことがある。
Y君が大学を卒業して、就職もせずにフラフラしていた頃、高校の同窓会で久しぶりに級友のAと再開した。
高校時代の2人は特に仲良しという間柄ではなかったが、同窓会では隣の席だったこともあり、話もそこそこに盛り上がり、「また今度飲もう」と電話番号を交換して別れた。
それからしばらくして、忘れた頃にAから電話がかかってきたという。
「いいアルバイトあるんやけどやらへん?」
当時のY君はアルバイトもろくにせず、パチンコばかりの超貧乏人。
聞けば、そこそこいい日給。
すぐさま「YES」と食いついた。
何のバイトか分からないのに「YES」と答えるY君もアホなのだが、とりあえず仕事の内容を聞くことに。
「実は秘密にしてほしい仕事なんやけど……」
Aの声が一段と小さくなった。
「女とセックスする仕事」
そう言った。
「女とセックスする仕事…?」
前述したが、Y君はちょっとアホである。
その時、Y君の頭の中では天使と悪魔が囁いたという。
天使「彼氏作りを禁止する女性アイドルやタレントの欲求不満の性処理を行う、秘密のアルバイトがあるって業界で聞いたことがあるぞ…」
天使が囁いてニヤニヤすると、今度は「もしかすると」と悪魔が囁く。
悪魔「早漏だしAV男優の仕事は止めたほうがいい…公務員の親が泣くぞ。金持ちの未亡人で野村沙知代のようなババァとセックスさせられたら人として何か大事なものを失うかもしれない……」
どっちが天使でどっちが悪魔なのかよく分からないが、とにかくY君の中では『悪魔の勝ち!』となり、そのアルバイトを断ろうとしたら
「頼むやってくれ!怪しいバイトじゃないから!」
と必死にAが説得してきた。
「女とセックスする仕事」の時点で十分怪しいんだが、あまりにも必死なAに気の弱いY君は強く断ることが出来ず、「とりあえず説明する」と言うAに誘われて飲みに行くことになった。
めちゃくちゃ興奮した
「女とセックスする仕事」の詳細を聞くため、Aと駅前の居酒屋で酒を飲むことになったY君。
最初は核心の「バイト」の話には触れず、お互いにバカ話をしていたが、次第に酒が進むにつれ、酔っ払ったAが過去の身の上話を語り出した。
Aは大学時代、同じサークルの女の子と付き合っていた。
「卒業したら結婚しよう」と誓い合うほど、2人は愛し合っていたという。
ある日、AとAの彼女、Aの幼馴染の親友の3人で、Aのアパートで酒を飲んでいた。
Aは他の2人に比べて酒に弱く、あっという間にヘベレケ状態となり、コタツの中で爆睡していた。
どれくらい寝たのか分からないが、急に喉が渇き、うっすら目を開くと部屋が暗い。
彼女も親友もいないため、「帰ったのかな…」と視線を隣の部屋に移すと、Aの目に飛び込んできた光景は
彼女と親友が夢中でセックスをしている姿だった。
まぁ、よくある話である。
酒の席で酔った彼女が、他人とセックスしている場面を目撃してしまい、「何してんだお前ら~!」という修羅場になるのは、俺でさえ何度か経験したことがあった。
ところがAは、彼女と親友のセックスを見て
「めちゃくちゃ興奮した」
そうである。
起きていることに気付かれないよう、薄目を開けて彼女と親友のセックスを観察しながら、Aはコタツの中で射精した。
「ハラワタが煮えくり返るくらい腹立ったけど、あんなに刺激的で気持ちのいいオナニーは初めてだった」
快心のオナニーとなったが、結局『裏切られた』という感情は抑えることができず、その後に親友とは絶交し、彼女とも別れることになった。
それから、Aは色々な女と付き合ったらしいが、どこか刺激の足りない毎日だったという。
彼女とセックスはせず、毎晩「彼女と親友のセックス」を思い出してはオナニーを繰り返していた。
「彼女が他の男に抱かれている場面」に異常な興奮を覚えることに気付くまで、そう時間はかからなかった。
Aは彼女を説得して、雑誌やネットのスワッピングに募集しては、彼女を他人の男に何度も抱かせたらしい。
最初の頃はAも満足していたのだが、いつの間にか徐々にスワッピングの刺激が無くなっていった。
「彼女と親友のセックス」に異常なまでの性的刺激を受けたAは、知らない男に彼女が抱かれているのではなく、“自分の知ってる男”に抱かれている姿こそが最も興奮することに気付いたのだった。
「頼むY、俺の彼女とセックスしてくれ」
それが、Y君へのアルバイト内容であった。
シャワー浴びてくるから、続きはしてていいよ
「実は今、彼女を駅で待たせてるねん」
『今からかよ!!』と心の準備をしていないY君はパニック状態に。
Aが電話すると、彼女は5分程で飲んでいる居酒屋に現れた。
「小雪」そっくりな超美人の彼女に、Y君は心臓とチンコがドクドク脈打つのを感じたという。
「もう駅前のホテル予約してあるんよ」と言う手際が良すぎるA。
さっさと勘定を済ませると、Aは「早く早く」と鼻息荒くY君の手を引っ張り、ホテルの部屋に引きずり込んだ。
まぁ、俗に言う変態の話である。
ただ、「彼女が小雪似」と聞いた時点で、変態の話よりも羨ましいモードになっていた俺は、関心がY君と小雪の絡みのほうに……。
Y君「いや、なんだかんだ言って、小雪そっくりな女とヤッてお金もらえるんなら『ラッキー』と思ってんだけど…」
俺「違うかったん?」
Y君「もう、Aの奴がうるさくてうるさくて(苦笑)…フェラはこうしろとか、クンニはこうだとか、彼女にはよがり方や股の開き方まで指導して、『もっとあの時のように』って事件を知らない彼女を怒鳴りながら厳しく怒るの」
俺「その時Aはどんな姿してるの?」
Y君「Aは素っ裸でチンコを握りながら、ベッドの周りをバタバタとせわしなく動いて彼女への演技指導(笑)」
俺「ほほぅ~!それでAはどうなった?」
Y君「僕がチンコを無理に立たして腰振ってるとこで、Aが変な奇声上げて射精して終了」
俺「ほほほぅ~!Aは満足したか?んでお前は?」
Y君「俺はまだイってないよ。Aが満足気に『ご苦労さん。シャワー浴びてくるから、続きはしてていいよ』って」
俺「おおっ!じゃあ、うるさい奴はいなくなって、後は小雪としっぽりと続きを…?」
Y君「さすがに俺も続きなんて、やれるわけないですよ……」
俺「なんで??」
Y君「だって、小雪、最初から最後まで、ずっと泣いてるんやもん」
忘れていた……。
Aは変態である。
だけど、彼女は普通の人。
以前からずっとAの性癖に振り回され、きっとAの目の前で色んな男に抱かれてきたのである。
その度に彼女は涙を流しているんだろうか……。
何だかかわいそうで、酒が一気に不味くなった。
シャワーを浴び終えたAは、財布から約束のお金をY君に渡そうとしたが、さすがに泣いている小雪の前でお金を受け取ることは出来ず、そのお金で3人で焼き肉を食べに行こうということになった。
さんざん食べて飲んで酔いつぶれて寝ているAを確認して、「こいつは変態。悲しいなら、もう別れたほうがいいんちゃうか」と言うY君。
小雪はしばらく黙って、「……でも好きやから」と少し笑顔になった。
変態を愛した業。
いや、変態を愛したのではなく、愛した男が変態だっただけなのだ……。
「また、アルバイトを頼む!」と言っていたAからは、その日以来、連絡がかかってくることは無かった。
その代わり、Y君と小雪は今でもちょくちょく会っているという。
Aが「見る」ことの出来ない場所で。
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