ライター黒瀬あずき
皆さまごきげんよう、元アンダーお散歩嬢ブロガーの黒瀬あずきです。
今回は、「アンダー嬢たちはどこから来たのか」について考えてみたいと思います。
少女たちの居場所を作り、学びを得る為の『フリースペース』
そもそも、アンダー店は概ね“得体の知れない店”です。
『萌えナビ(メイド喫茶・リフレ等の萌え店情報ポータルサイト)』に求人広告を掲載するときは、漠然と「楽しいお店」、「観光案内」などと表現しています。
当然です。「やり方次第で月収100万も夢じゃない」なんて書けませんから。
というわけで在籍当時は、『普通のJKお散歩店(お話をしたりするお店)』だと思い込んで訪れる少女が一定数存在していました。
私のいたGU探検隊は、『フリースペース』ということになっていました。
雇用という形態は取らず、「出勤」という言葉も使いません。
予約が入っていれば、休んでも遅刻しても早上がりしても何も言われません。
店長も、「店長」と呼ばれることを忌み嫌っていました。
彼は、
店長じゃないし、ここはそもそも店じゃないから、俺のことは名前で呼ぶように
という主張を頑なに崩しませんでした。
まぁ、実際そのやり方は正しかったんだと思います。
「雇用」すると色々な問題がありますが、『女の子たちが好き勝手に出入りする場所で、そこに交流を求める男性からの電話があるので取り次いでいる』ということにすれば、一応ですが法には抵触しません。
在籍中に一度、某新聞社の記者の方から取材を受けたことがありますが、そのシステムを聞いた彼は
それは上手いな
と感心していました。
店長の掲げていた理念は、
少女たちの居場所を作って、将来に向けた学びを得るために池袋での探検を仲介する
というもの。
実際、面接時に書いた履歴書用紙には、「将来の夢」、「やりたいこと」などの欄がありました。
私はそこに「ライターになりたい」と書いたので、当時はサイトに『将来の夢:ライター』と記載されていました。
他の女の子は「トリマー」とか「美容師」とか「アパレル関係」とかだったので、もうちょっと違うのにすれば良かったと一瞬後悔しましたが…。
俺クオカードで買い物したいから、良かったら現金と交換するよ
GUに所属し、派遣される少女たちが客から受け取るコース料金(探検料)のうち、客1人につき1,000円がバックとして与えられていたのですが、その支給方法も独特でした。
フリースペースからの「お礼」としてクオカードを支給したのち、店長が
俺クオカードで買い物したいから、良かったら現金と交換するよ
と言い始めるのです。
つまり、パチンコ店の「三店方式」と一緒ですね。
一旦モノとして支給してから別の形で現金に換え、「給与」になることを回避していたのです。
しかし、ある時期から
古物商許可に引っかかるんじゃないか
という懸念により、バックは無くなってしまいました。
Check古物商許可が必要な人
そういうわけなので、客から受け取るオプション料金は、全額嬢のふところに入ります。
逆に言えば、オプションをしないと、時給にすれば数百円程度になってしまいます。
だから、『普通のお散歩店』と勘違いしてやって来た少女は、ことごとく裏オプを要求する客と、謎に満ち溢れた店のコンセプトに困惑し、ほとんどが1日で辞めていくのです。
ただし、それは「裏オプができない子」の話。
この“魔の初日”を乗り越えて、店のシステムに順応した少女が無事に「アンダー嬢」になります。
そして彼女たちは、大抵友達を店に呼びます。
その場合は話が早いです。仕組みを全部説明された上で、
それでも稼ぎたい
と入店するので、何の躊躇もありません。
援助交際で稼いだお金を持ってホストクラブへ……
前回書いたように、この業界にバンギャ・ホス狂い・ジャニヲタが異常に多いのは、友達が友達を呼ぶネットワークにも理由があったと考えています。
アンダー嬢の世界は狭く、店の中にも元々友達だった子同士が多いので、待機中に聞こえる会話はバンドマンの悪口だったり、ホストの話だったり、ジャニーズの話だったりします。
誰が誰に貢がれてるとか、誰に枕してもらったとか、そういう会話が一生聞こえてきます。
全く詳しくなりたくないのに、詳しくなってしまいます。
非常に困惑します。
そういうわけなので、GUが日テレに密着取材(「news every.」と「NEWS ZERO」で放送)されたときも、
少女たちは、援助交際で稼いだお金を持ってホストクラブへ……
みたいな描写をされていました。
まぁ、合っています。
学校がない夏休みは、ホス狂いの子たちは仕事を終えるとタクシーで歌舞伎町に直行し、ホストクラブへ行き、飲み終わるとみんなでラブホテルに泊まって、また出勤…の繰り返しでした。
それを横目に、実家暮らしの私は淡々と実家⇔池袋の往復2時間を毎日していたのですが……。
なので、私は毎日服が変わりますが、ホス狂いの子たちは服が2パターンくらいしかありませんでした。
ちょっと面白かったです。
ホストクラブは、基本的に年齢確認が厳しいです。
そのはずなのですが、ゆるいお店とか、コネのある人との繋がりとか、コネとか、コネとかで通えるお店もあるようです。
ホスト側も、結局お金になるならアンダーでもいいのかもしれません…。
ちなみに私もホストクラブに誘われ、実際に何回か行きましたが、全然楽しくなくて
…………
状態になってしまい、23時半くらいの電車で普通に家に帰ったことを今思い出しました。
そもそもチャラついた男の人が苦手なのに、ホストクラブへ行った私が愚かなのですが…。
ハマるかハマらないかは、人によると思います。ホストって。
チケット代・物販・交通費…バンギャの最終形は「蜜」
バンギャの子も多かったです。
V系バンドの追っかけ文化は独特を極めており、彼女たちの会話で使用される単語の5割くらいはググらないと意味不明でした。
私は舞台を観に行くのが好きなので、「上手(かみて:客席から見て右側)」、「下手(しもて:客席から見て左側)」はまだ全然わかりますが、「上ギ(上手ギター)」、「下ギ(下手ギター)」はさすがに略しすぎです。
まぁ私もざっくりとしか理解していないのですが、V系バンドのファンには「仕切り」という人がいるらしく、「対バン(複数のバンドが出演するライブ)」などで、それぞれのバンドの出番がきたら、最前列の各場所に誰が入るかをきっちりと決めたりするそうです。
その話を聞いたときは、
大変そうだね
という偏差値5みたいな返事しかできませんでした。
彼女たちはV系バンドのライブのチケット代や、物販グッズ(特にチェキ=メンバーの写真)、地方ライブのための交通費、そして極限まで辿り着くと、メンバーに直接生活費を渡す「蜜(貢ぐの略語)」のためにお金を稼ぎます。
私は女の子の地下アイドルが好きなので、よくそういうライブに行ったりしますが、V系みたいに仕切りの人はいませんし、誰がどこに入るとかも決めません。
みんな勝手に好きな場所で見ています。不思議だなと思います。
彼女たちは、趣味に命をかけているのかもしれません
ホス狂い・バンギャに比べると、ジャニオタの嬢がしていることは比較的シンプルです。
転売されている良い席を買うため
これが一番多い理由でした。
最前列やファンサ(=ファンサービス:アイドルに手を振ってもらったり、指をさしてもらうなど)に固執し、アイドルから見てもらえることが嬉しい。そして何より広い会場の中で、“その瞬間”に2人だけの世界が出来上がることに幸せを感じる。
そういう理由で働いている子がほとんどでした。
アンダー嬢と風俗嬢は少し違うかもしれませんが、趣味のために危ない仕事をするのは、男性の方からしたら理解できるものなんでしょうか。
それとも理解しがたいものなんでしょうか。
ただ、もはや彼女たちの場合は「趣味」を超越しがちです。
たとえばホストクラブなら、好きなホストの中で自分の存在を大きくするためにお金を使います。
しかもそのホストが『生きる意味』だったりするので、「命をかけている」という表現のほうが正しいかもしれません。
私も働いていたときに、よく
お金は何に使ってるの?
と聞かれました。
でも漠然と、
服とか……
みたいな要領を得ない返事しかできませんでした(大体の子は多分そうです)。
話しても理解されないし、されたくないという固執があるからだと思います。
さて、次回はいよいよ「アンダー嬢は何者なのか」に迫ります。
最後に俺を頼むよ
で話題になった、GU探検隊時代の話などを書いていきます。
2016/7/19 20:10
新手の「JKビジネス店」の店長の男が、従業員の女子高校生にわいせつな行為をしたとして、逮捕された。
児童福祉法違反の疑いで逮捕されたのは、東京・池袋駅近くのJKビジネス店「池袋GU探検隊」の店長・宇佐美竜容疑者(37)で、警視庁によると、宇佐美容疑者は、今年3月、従業員で高校2年の女子生徒に2回にわたり、店の事務所でわいせつな行為をした疑いがもたれている。
宇佐美容疑者は、「隊員」と呼ばれる女性従業員と「散歩」ができるとうたった新手のJKビジネス店の店長で、 接客を終え事務所に戻った女子生徒に、「最後に俺を頼むよ」と言って5000円を支払い、行為に及んだという。
また、女子生徒に客がつかない時には「俺が客になってやろうか?」と誘っていたという。
調べに対し、「卑わいなことをしたことはありません」と容疑を否認しているという。
【出典:日テレNEWS24】
なにとぞお付き合いくださいませ。それではまた。
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