読者投稿20代後半の男性
初めてハッピーメールで会った人のお話。
あれからかなりの時間が経ったけど、今でも時々思い出す。
元気にしているだろうか。
この体験談は、ちょっぴりセンチな内容になります。
今となっては詳しく覚えていないけど、始まりはアダルティな感じだったと思う。
メアドを交換して、他愛もないメールをやり取りする日々が続く。
わかっていたのは、少し年上の人妻という事、「日々の生活に疲れを感じて、刺激を求めてサイトに来てます」という事だった。
「写真を見たいです」
こちらのお願いに送られて来た写メには、想像以上の美しい女性が映っていた。
好みは人それぞれだけど、まぁ10人中9人は美人と言うであろうレベル。
昔はキャバ嬢をだったらしいが、その話は信憑性が高そうだった。
一度会ってみようという事で、彼女の希望する店を予約して待ち合わせ。
その待ち合わせ場所に現れたのは、写真どおりの美しい女性だった。
少し時間に遅れていて急いだ事か、それとも初めて会う事への緊張か。
店に入った後の彼女の顔は、しばらくの間赤く上気していたのを覚えている。
初めの数分こそぎこちなかったものの、お酒が入り始めてからは、持ち前の天真爛漫でサバサバした彼女本来の姿に戻り、会話もかなり弾んだものになった。
しかし、その明るさの端々には、ほんの少し引っ掛かりを感じていた。
メールをしている時から感じていた事だが、小さな影と言うか…それを見せないためにあえて明るく振る舞っている。
そんな印象を受けた。
お酒が入るにつれ、彼女の口からポツリポツリと語られる重い過去。
「酔っ払ってるよね、ゴメンね」
そう謝りながらも、一度口から出てしまった言葉を止める事は難しい。
途切れ途切れながらも、徐々に彼女の持つ「影」の部分が明らかになっていった。
自分としては、もう全てを聞くしかない。
重い話をしながらも、時々見せるはにかんだような笑顔が、今でも印象に残っている。
気が付けば、随分と時間が過ぎていた。
一度店を変えようという事で、彼女のリクエストでカラオケに行く。
この時には、もう元の通りの無邪気な彼女に戻っていた。
カラオケでは、互いのジェネレーションギャップやら、昔好きだった歌手やら、バカ笑いをしながら普通のデートのような時間を過ごしていた。
そろそろ終わりの時間が近付いてきた時、急に彼女が黙り込み、自分のほうへもたれ掛かって来た。
「ギュッてして」
これまでのイメージからは程遠い、消え入るようなか細い声。
彼女に愛おしさを感じ、優しく抱きしめてそのままキスをした。
「ゴメンね」
彼女は小さくつぶやいた。
何を思ってそう言ったのかは、今でもわからない。
カラオケを出てからは、まるで付き合いたての学生のように、ちょっとした暗がりを探してはキスを繰り返していた。
自分の手を引っ張って、人目を避ける場所を探す彼女。
その無邪気な顔は、強く記憶に残っている。
「朝まで一緒にいたい」
そう彼女に伝えたが、「どうしても家に帰らないとダメなの」という事でその日は別れた。
以降も彼女とのメールは続いていたが、以前と比べて若干の変化が生じていた。
彼女からのメールの返事は少しずつ遅れがちになり、自分の仕事が忙しくなった事もあって、メールのインターバルは1日から2日、そして1週間と徐々に延びていった。
たまに来るメールはネガティブな内容が多く、返せない事もしばしば。
いつしか、彼女に対する記憶は日々の生活から消え始めていた。
彼女の事をすっかり忘れかけていたある日、一通のメールが届いた。
詳しい内容は割愛するが、離婚が決定したということ。
それともう一つ、ある程度は予測しながらも、自分の中では衝撃的な内容が書かれていた。
そのメールには、一枚の写真が添付されていた。
満開の桜の写真だった。
その時の季節は、まさに桜が満開の時期。
初めて会った冬の日から、もう数ヶ月が経っていた。
おそらく、特に理由はなかったのだろう。
もしかしたら、彼女の間違いだったのかもしれない。
その一面に咲き乱れる桜の写真が、何故だか深く心に刻まれた。
もう一度会ってどうこう出来るわけでもないが、ただ願う。
彼女に幸せが降り注ぎますようにと。
「女性の重い過去と、メールの衝撃的な内容は書けない」とのこと。
隠されると、余計気になります。
ハッピーメールと美女と桜
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