読者投稿40代前半の男性
先日、仕事関係のセミナーに出席する為、泊まり掛けで栃木県の那須塩原市へ行ったんですよ。
取引先やら…総勢50人くらい居ましたかね。
あれっ?コンパニオンの保護者かな?
セミナーが終わった後は、ホテル内で懇親会が行われました。
それが、この時代には珍しくコンパニオンが来たんですよ。しかも5人。
でも、1人だけ違う雰囲気の女性が居ました。
普通、コンパニオンは20代~30代のイメージなんですが、どう見ても初老の方が交ざっている。
(あれっ?コンパニオンの保護者かな?)
会場に居た誰もがそう思いました。
他の4人は全員20代だけに、その女性のインパクトは絶大でした。
懇親会が始まり、各席にコンパニオンが散らばります。
幸い、私の近くには髪の長い美人さんが座りました。
私は“初老コンパニオン”の事など忘れて、会を楽しみました。
美人コンパニオンから発せられる香水の香り…どうすればお持ち帰り出来るかを考えました。
例え持ち帰りは出来なくとも…せめて…Bまでは…。
しばらくして、私がトイレに行ったんです。
(百戦錬磨のコンパニオンをどう口説くかなー)
(私が得意な、元中日ドラゴンズの田尾安志がバッターボックスに入った時の尻の動きのモノマネを披露すれば、確実に口説き落とせるんだけどなー)
用を足しながら、そんな事を考えていましたね。
宴会のはずが、葬式の仕出し弁当を食べている雰囲気に
ウキウキしながらトイレから会場に戻ると、私の周りの席の雰囲気がさっきと違います。
宴会のはずが、葬式の仕出し弁当を食べる雰囲気になっていました…。
(どうしたんだろう)
Σ(゚Д゚)
私の席の前に、初老コンパニオンが座っている。
(いつの間に…)
私は気まずい感じで座り、近くで初老コンパニオンを観察しました。
当初は保護者かなと思ったのですが、どう見ても違う。
(俺のオカン世代じゃん!!)
しかもこの人、さっきから何も話さない。
(どうすりゃいいんだ…)
私が困っていたら、隣の席に座っている取引先の方が
「○○(私)さん、年齢を聞いて下さい」
そう言ってきました。
(えええぇぇー!無理無理無理ーー!)
そう思いましたが、こういう役は私がしなければなりません…。
ふと見ると、初老コンパニオンの胸の名札に源氏名が記されていました。
彼女の名は…
「りあ」。
(「せつこ」の方が似合うぞ)
もう笑うしかありませんでした。とびっきりの苦笑いを
私は勇気を振り絞って聞きました。
「りあさんはお幾つなんですか?」
私のそんな質問に対して、りあさんは予想に反した答えを返しました。
「はいっ?」
(チッ、聞こえないのか…)
私は少し大きな声で再び年齢を聞きました。
すると、りあさんの口から衝撃発言が飛び出しました。
「すいません。耳が遠いので、近くで言ってもらえます?」
(初老じゃなくて大老じゃねぇか!!)
仕方なく、りあさんの耳元で年齢を聞くと、彼女は言ってはいけない事を答えてしまいました。
「ンフフ♪いくつだと思う?」
(だああああぁぁぁー!面倒くせえええぇぇぇーー!!)
デッドボールを当てられて、ピッチャーをぶん殴ったクロマティの気持ちが分かりました。
明らかに顔が引きつっている私…。
ちびまる子ちゃんで言うなら、顔に縦線が沢山入っている状態です。
「よ…45歳ですかね?」
私は恐る恐る、りあさんの耳元でそう答えました。
かなり気を遣ったつもりです。
直球でいいなら、72歳と答えていましたから。
りあさんは金歯をチラつかせ、ニコニコしながら
「ざんねーん!42歳どぇーす♥」
『プチッ』
「おい!誰か鈍器を持って来い!コイツの頭をカチ割ってやる!!」
危うく暴言を吐くところでした。
(どう見ても42歳には見えねーよ!!俺と2歳しか違わないのに、このくたびれ感はなんだー!?どんな修羅場を掻い潜ればこんなに老けるんだよ!!)
私は、もう笑うしかありませんでした。
とびっきりの苦笑いを。
そして、りあさんは改まって私達にこう言いました。
「初めましてー、新人のりあでーす♪よろしくお願いします♥」
(えええええぇぇぇぇーーー!!し…新人!!!??)
(どう見てもベテランじゃねーかああぁ!家に帰ったらぬか床をかき回すタイプじゃねーかあああぁぁ!!煮物が得意だけど 、妙にしょっぱい味付けをしそうじゃねーかああああぁぁぁ!!!)
その後、りあさんは私に言いました。
「いやだぁー♥お兄さんよく見たら色男じゃないのー♥」
うん、ありがとう。
私の事を「お兄さん」、「色男」と言ってくれたりあさん。
表現はなんか古いけど、見直しました。
私の怒りも少しだけ収まりました。
ただ…「よく見たら」は余計だぞ。
そんなこんなで懇親会が終わり、部屋に戻って来た私。
鏡で自分の顔を見ると、そこには疲れきった「おりも政夫」が映し出されていました…。
最後に
“初老コンパニオン”…これはこれで良い思い出となりました。
(でもあの人、本当は何歳だったんだろう?)
そんな疑問を残したまま、私は那須塩原から帰路に就きました。
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