Cちゃんはビジュアルは可愛いのだが、とにかく風変わりな嬢だった。
何度か待機でも顔を合わせたことがあり、今時のギャル風な顔立ち。整形っぽいものの、しっかりと伸びたマツエク(まつげエクステ)にぷっくりした涙袋が印象的なキャストだった。
にも関わらず、Cちゃんの日記は何かがおかしかった。最初は、そこから違和感が生まれたのである。
エロさは感じられない、グロテスクな“ぶっ込み日記”
明らかに乳輪が出ている写メを掲載しては風俗ポータルサイトに消され、店長に怒られる事を繰り返していたCちゃん。
確かに、過激な写メはアクセス数を呼び込むものだ。が、同じキャストのわたしからすれば、出来るだけ「エロさ」を売りにしたくはない。そういう過激な写メに寄って来るお客様は、きっと質も悪いだろう…と身構えてしまうからである。
とはいえ、Cちゃんはいつもその方法で新規を呼び込んでいた。
『ぶっ込みしまーす』
彼女はまずシンプルにそう書く。『○時にアップするから見てね』との予告付きで。その時間にCちゃんの日記にアクセスすると、削除される前の過激な写メを見られるという仕組みだ。
顔付きのエロ写メはもちろん、時には女性器の拡大写メを掲載したり、どう撮ったのか、お尻の穴をアップにして体のラインが露わになっていたり…また、電マをぶっ込んだ写真もあった。
もはやエロさと言うよりは、「グロさ」を感じずにはいられない写真。
どうしてこの子はそこまでするのだろう…。可愛い自撮り写メの媚びたような表情を見る限りでは、そんなにスレているとも思えなかった。
わたしは常々、その事をずっと不思議に思っていた。
うーん…正直サービスはかなり悪いよ。ヤバイと思う
とある日、常連のお客様と写メ日記の話になった。普通、お客様は常連である事を隠すケースが多いのだが、ごく稀に自分から色々なキャストの話題を振ってくる。
「写メ凄い子いるでしょ? そう、Cちゃん。あの子も入ってみたんだよねぇ」
思い出したようにお客様が言う。わたしは思わず食い付いてしまった。
「え!そうなの!?どんな感じ?」
「うーん…正直サービスはかなり悪いよ。地雷まではいかないかもしれないけど、マグロ。ヤバイと思う」
「ふーん…。でも、写メ日記だと凄いよね?」
明らかにフェラと思われる構図の写メに、手書きで落書きをしている事もあった。
『SEX大好き』
そんな内容である。Cちゃんはどうしてそこまでするのだろう。
「本人、指名とか嫌みたいなんだよね。疲れるらしくて。だからなのかな?なんとかして新規に付きたいらしい。それで、あのスタイルになったみたいだよ」
「そうなんだ…」
店としては指名が取れなくとも、とりあえずは新規客を呼んでくれるキャストだ。風俗ポータルサイトにはあまり受けが良くないだろうが、キャスト一人の素行の問題で契約が打ち切られる事はない。
とはいえ、サービスが悪い上に本指名が返せないなら、そのスタイルは長くは続かないだろう…。そう思っていた時だった。
過激な写メで新規を囲い、稼げなくなったら即移転
その後の事である。いきなりCちゃんが辞めたのだ。
(どうしたんだろう…ほぼ毎日出勤してたのに)
わたしは気になっていた。
だが、この業界はかなり人の出入りが激しい世界である。店長に聞くほどの興味もなく、なんとなく掲示板を覗いた時、その事実は発覚した。
Cちゃんは、他のデリヘルと掛け持ちをしていたらしいのだ。しかも後半の3ヶ月間ずっと。
朝の10時から夕方まではあちらのデリヘル。19時頃から朝5時頃まではこちらのデリヘル。驚異的なスケジュールである。
こちらのお店のシフトは週4だったが、あちらでも週4ほど入っていた。時には週5だった事もある。到底こなせないハードスケジュールだ。
わたしは、3人接客すればもうクタクタになってしまう。それにも関わらず、ほぼ寝ずに風俗のお仕事ばかりなんて信じられない…。
Cちゃんの新しいお店の写メ日記を覗いてみた。
やっぱり、彼女は変わらない。写メすらそのままの使い回しだ。同じように“ぶっ込み”をして新規を集め続けるだけのスタイル。そして、稼げなくなったら次のお店に移るのだ。
Cちゃんは、いつまでそれを繰り返すのだろうか…。
最後に
Cちゃんのあの“ぶっ込み日記”を思い出す。確かに、彼女はお金が欲しかったのかもしれない。
だが、何かもっと大きなモノを、ボロボロになりながら追い掛けていたようにも見えたのである。
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