
わたしは某性感エステ店に勤務しているのだが、指名してくれるお客様は非常に若い男性が多い。お店の多くのキャストがおじ様を中心に指名を返しているので、「これはかなり珍しい」とスタッフにも言われるぐらいである。
その理由は不明なのだが、そもそも写真などで私を選ぶのは、若い年齢の男性が多いようなのだ。
比較的お金に余裕があるおじ様たちに比べ、若い男性はガッツキ具合も半端じゃないし、一回一回が重たい傾向にある。
『まぁ応援してあげようか…』という気持ちでおじ様が指名するのも、『会いたい』、『マジで付き合いたい』と他のモノを削りに削って、若いお客様が指名するのも同じなのだ。
わたしはキャバクラ時代に疲れてしまったので、色恋営業は全くしていない。デリヘル時代に軽く色を掛けた事はあったのだが、体を触ったり、触られたりするプレイも相まって、精神的に参ってしまった。そのため、今は“ノン色恋”の省エネモードで営業中だ。
だが、若い男性の場合、初めて本指名を下さる時には、もう既に(嬢のことが)気になっていたり、恋に落ちているお客様が多いのも現状である…。
そんなわたしとお客様の間で実際にあった、面白おかしい、そして痛いやり取りを紹介しよう。ある程度ボカしているので、その点はご了承頂きたい。
ケース1.「ウソじゃないよね?」本名にこだわるお客様
本名を聞かれた際の出来事である。
わたしをはじめ、風俗嬢からすれば、本名を知りたがる意味があまり分からない。源氏名が不自然な場合は、下の名前の愛称ぐらいなら教えることもあるだろう。プレイ中に本名で呼び、ラブラブ感を味わいたいお客様も多いからだ。
だが、フルネームは完全な個人情報である。中には、ググればプライベートな情報まで分かってしまう事も多い。そのため、わたしは苗字のみを微妙に変えて教えることにしている。
ウソにしろホントにしろ、疑う気持ちをグッと堪えてとりあえず相槌を打っておけばいいのに、深追いする男性は存在する。中には、「本名ウソじゃないよね?」、「仲良くなってからウソだって分かったら一発で信用失うけどそれでもいい?」、「今なら俺も理解するよ?」などと彼氏面をしてきたお客様もいた。コレにはさすがにイラついてしまった。
色を掛けたり、何か特別な関係だったら別だが、お店でしか会っていないのにこの言い方はないだろう。仮に良い感情を持っていたとしても、キャストを脅すような言い方はよろしくない。言い回しの大切さを痛感した出来事だった。
ケース2.「キレイだよ」少女マンガのようなアクションをするお客様
初めてお会いしたお客様との出来事である。
抜きの時間中、わたしの顔を両手で包みこんで、「キレイだよ」、「好きだよ」などと甘い声で囁いてくる男性がいた。恋人プレイの一環なのだろうが、正直戸惑ってしまった…。
キャストが喜ぶと思っているのだろうか。それとも、少女マンガにありがちな、優しくてちょっぴりキザな彼氏とのエッチシーンを再現したいのだろうか。わたしはまず引かないのだが、これには少々驚いた。その場ではちゃんとリアクションをして反応したものの、初対面でコレはちょっとキツい。
恋人プレイが好きなのかもしれないし、その気持ちは充分に分かるのだが…真顔でされると初対面の嬢は少し驚いてしまう。いっそのこと、プレイ時間や抜きの時間が始まる前に、「やってみたかったプレイしてもいい?」などと前フリをしておいたほうが良い。言うが勝ちである。
ケース3.「俺はお前だけのもの」勘違いが激し過ぎるお客様
とにかく、勘違いが激しい人だった。お客様の外見を客観的に評価するのは恐れ多いが、「女性にモテて、既婚になってからも何人かセフレがいた」などと言う方の容姿レベルは残念ながらとても低い。「エッチの時だけでいいからわたしを一番にして…」なんて、大好きな元彼にすら言ったことないぞ。
そんな風に、女性から情熱的に迫られた数々の経験をお持ちのそのお客様は、冗談のように甘いセリフを色々と囁いてくるのだった。
「でもこの瞬間は、俺はお前だけのもの」
「確かに出会いはこんな店だけど…もうお互いに違うなって思ってんだろ?」
「俺以外の男の前ではきっと、胸触られただけでそんな声出さないよね」
「分かってるよ。特別だなんて言わなくていい。もう感じてるから」
…独身ならともかく、子持ちの既婚者である。携帯の待ち受け画面は、子供の入学式の正装姿の写真だ。日常を忘れて、エッチなお店で自分の理想の男性を演じたかったのかもしれない。
それにしても、彼から抜きの時間中に掛けられた言葉は、どれも破壊力とインパクトが物凄かった。
最後に
今回は面白おかしく、少し表現を変えてネタにさせて頂いたのだが、安心してほしい。よほどの“痛客”でない限り、嬢の間であなたのプレイ内容が細やかに話される事はない。
「よほどの痛客」とは、キャストに精神的・肉体的な攻撃を加えてくるお客様の事である。馬乗りになったり、本番強要をしつこく迫るなどだ。そうでない限り、まず嬢はネタにすらしない。そういうお仕事なのだから。
風俗店は自分の願望を叶える場所。理想の自分を演じながらプレイをしてみるのも、そんな遊びのうちである。
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