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【出会い系サイト】「俺だけを見て!」お金で恋を買おうとした男性の話

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【出会い系サイト】「俺だけを見て!」お金で恋を買おうとした男性の話
ライター夕花みう

 最近記事に書いた、ホ別5万で援助交際をしている友人Aが出会った客との出来事である。

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『初めまして。ちょっと…というか、かなり年上だけど、大丈夫かな?』

 彼との始まりはこんなメールだった。取り立てて印象に残らないような、そんな文面。

「まぁ、別に会うまでもないかなーって」

「最初はシカトしてた」と彼女は言う。

僕のこと、信用できませんか?名前と、電話番号を教えます



 Aはその高額なお値段にも関わらず、割とたくさんの男性からメールを受け取っていたらしい。可愛らしい顔の賜物だとは思うのだが、客を選びつつ相手をしていたのだそうだ。
 その客は54歳。彼女が20歳であることを考えると、年の差は実に34歳。とはいえ、売り目的の女性に何度もメールを送ってくる男性は珍しかったらしい。

『やっぱり、無理かなぁ…僕、会いたくなっちゃって…』
『おはよう。今日はゴルフに来てるよ。何しているのかな?日曜日、ゆっくりしてね』

 健気なメールはたびたび続いた。そこまで思い入れを持ってくれる理由はよく分からなかったのだが、ある日、情にほだされるような形で会うことにした。それも、こんなメールがきっかけだった。

『僕のこと、信用できませんか?名前と、電話番号を教えます。なので、会いましょう。よろしくお願いします』

 そこまで言われたら…と、Aも会ってみることを決意したのである。

『わかりました。何度もメールありがとうございます』

 こう返事をして、当日待ち合わせ場所に向かった。

なんで普通の男性が、売りをしているわたしに執着するのだろう



 チェック柄の落ち着いたシャツにジーンズ、品の良い男性がそこに立っていた。正直、何度も何度もメールをしてきたぐらいだから、かなり変な人かもしれない…と身構えてすらいたのだが、案外普通な雰囲気の男性だった。ホッと安心した。
 細い目は優しそうだし、心持ち小太りな体型ながらも不潔感は漂っていない。逆に、なんでこんな普通の男性が、出会い系サイトで売りをしているわたしに執着するのだろう…とすら思ったという。

「何度もごめんね。引かなかった?」
「いえいえ…こんなにメールしてくれる人、珍しかったので」
「そうだね…。僕の知ってる人に似てたから。もちろん、ただの他人の空似なんだけどね」

 彼のセックスは丁寧だった。
「壊れ物を抱くように」なんて表現が小説にはあるけれど、きっとこのことを言うのかもしれない。Aが少し表情を変えるたびに、「痛くない?」と気を揉んで繊細に繊細に扱ってくれる。優しいセックスだった。
 少し警戒しながら会ったけれど、それほど心配する必要はなかったのかもしれない。そう思っていたのだが…。

 しばらくしてからの出来事である。
 彼からは相変わらず頻繁にメールが届いた。だんだんとプライベートを詮索するような質問も増えていく。

『学校はどこなの?どのあたりなの?』
『将来何がしたいの?』
『普段どこで遊ぶことが多いの?』
『彼氏はいるの?』

 …そんな連日の質問メールにうんざりしつつも、一定の距離感は保っていた。
 執着されても困る。こっちはお金のためなのだ。もしこの状態が続くようであれば、切る事も考えていた。

 そして、彼からのメールが届いていた矢先に、同じ54歳の、同じ地方に住んでいる男性からもメールが届くようになった。同じような文面。なんとなく、特徴で分かった。これも…きっと彼だ。

(でも、何のために?)

 気付きながらも、Aは返信しなかった。

きっとこれが、お金の抱き心地



 そして、とある日の事である。

「僕、君のこと好きになっちゃったかもしれない…。ねぇ、今そういう関係持ってる人、何人いるの?稼ぎはどのくらい?」
「…なんで?」

 ついに、この日が来た。きっと、こんな事を聞かれるようになった今が切り時だ。

(家に帰ったら、ブロックリストに入れよう)

 そう思いながら適当に話を聞いていた、が…





「俺だけにしてよ!!!」





 いきなり男性が声を荒げた。思わず一歩下がってしまう。
 見たことのない表情。怒りだろうか、切なさだろうか。重たい重たい目をしていた。







「俺だけにして!金ならあげる!金なんていいんだ!お前は金のため! 同じだけ稼げればいいだろ!だから、俺だけのモノになるんだ!」

 初めて見た男性の反応だった。顔を真っ赤にして、声を荒げて彼は言う。高そうな革財布から諭吉がバラまかれる。ベッドの上に、ハラハラとそれが舞った。
 きっと危ない状況…なのに、Aはなぜかとても冷静に見ていた。一瞬、『殺されるかもしれない』とも思った。

『ドクッ…ドクッ…』

 冷たい汗が流れ、うるさい心臓の音が耳に響いた。
 諭吉がヒラヒラと落ちていく。1枚、2枚、3枚。

(このはした金で得られるひと時に、この人は少しずつ狂っていったんだ)










「俺だけを見て!俺だけ!」

 涙がつたったのを見た。
 どこかの小説にありそうな話。じゃあ、わたしもそれを演じればいい。
 Aはギュッと男性を抱きしめた。脂と汗が素肌にぬめり込む。きっとこれが、お金の抱き心地。

「大丈夫。泣かないで」
「うわぁあああああ…」

 男性が号泣している姿を初めて見た気がした。

 話を聞いていくと、Aに執着していた理由は至ってシンプル。昔、とことんハマった風俗嬢に似ていたのだ。足繁く通い、付き合っていると思い込んでいたのだが、アッサリと店を飛ばれた。それ以来、ずっと忘れられなかったという。
 中にはそんな男性もいるものなのかと、逆に新鮮にすら感じられた。きっと、その風俗嬢だって付き合いを続けたかったのだ。ただ、彼女が稼ぐだけのお金さえあれば…。そう思い込んで、彼女を忘れられなかったらしい。

 …だが、きっとそんなハズはない。

「話してくれて、ありがとね。でもわたしは、その子じゃなくてわたしなんだ。だから、その子と重ねるんじゃなくてわたしを見て欲しいんだよね」
「ごめん……」

 彼女が言い終わる頃には、男性は泣き止んでいた。

最後に


 その後、当然のように、Aは彼をあっさりブロックリストに入れた。
 そしてしばらくして、彼女自身も援助交際をやめるきっかけとなる出来事が起きる。彼とはもう一切何の関係もない。思い出すこともない。
 また、誰かと重ね合わせては、報われない恋に焦がれているのだろうか。

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当記事の著者

現役女子大生ライター風俗・お水業界三冠王夕花みう
現役女子大生ライター。キャバクラ、デリヘル、性感マッサージでナンバーワンを取った三冠王。性愛道の修行僧、もしくはエロテロリスト。

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