
ライター夕花みう
わたしがライターの仕事の研究を兼ねて登録しようとしていた出会い系サイトに、とある友人Aがハマってしまった。
彼女はもともと、あまり男性に縁がないマジメで清楚な女性である。それでも、エロいことにはかねてから興味津々だったらしい。わたしの話を、いつも面白がって聞いてくれる友人の一人だった。
そんなAが、つい最近“オトナの関係”になった男性がいるという。もちろん、きっかけは出会い系サイトだ。
今どき、「●●」だなんて聞いたことがない
「まぁ正直に話すと写メとかもわりと投稿してて。やり取りしてみて、『えっ、業者じゃないんだ』とか言って嬉しそうに返事が返ってくることも多くてさ」
Aは容姿にコンプレックスがある。顔の造り自体は可愛らしいのだが、残念ながらかなりのぽっちゃり体型であるため、顔が真ん丸なのだ。本人も痩せられない事をすごく気にしているらしく、その話題はタブーとなっている。
体型を苦にしているため、Aは高校時代もずっと彼氏ができないままだった。とはいえ、性欲は強い方らしい。BL小説などを読んでは、キャッキャと騒いでいた。
そんなイメージが強かったAにセフレが出来たとは…とても驚きだったのだ。
「なんか言い回しが変な人でね」
そう言う彼女だが、顔は完全にニヤけていた。どれどれ…とLINEを覗き込む。
『今日は君に出逢えて本当に嬉しかった。別れ際に接吻したのが忘れられないよ』
接吻…すごい言い回しである。まるで官能小説家のようだ。今どき、「接吻」だなんて聞いたことがない。思わず吹いてしまった。
「最初からこんな調子。最初は変だしキモいなぐらいにしか思ってなかったんだけど、なんかだんだんこの人面白いかもって」
『君の胸元の写メを見る度に、僕の倅が大変な事になります』
「えっ…これ嬉しいの?」
口に含んだ紅茶を吹き出しそうになりながらわたしは聞いた。照れたように笑うA。このはにかんだ笑顔で察した。彼女はきっと嬉しいのだ。
出会い頭も、やり取りでも、その独特な言い回しが気になったAは、だんだんと彼の長文メールが楽しみになってきた。そして、当たり前のように会うことになったという。
僕のアソコは寂しがり屋なんだ。パックンしてくれないかな
彼との待ち合わせは、駅のとある喫茶店だった。ドキドキしながら待っているAの元に、背広姿の男性がやって来た。
挙動不審でソワソワしたような男性を想像していたのだが、実際はずいぶんと違う。30代半ばといったところだろうか。イケメンというわけではないが、清潔感のある印象を受けた。
「こんにちは」
「初めまして」
とても柔らかい声音(こわね)だ。落ち着いた印象である。メガネがインテリな感じを思わせた。
喫茶店でお茶をしながら、他愛もない話をする。写メを見せ合っていたような仲だ。お互いになんとなく、心づもりやこれからの展開は分かっていた。こちらから誘うわけにもいかない…と適当に話を合わせておく。
正直なところ、怖いもの見たさの延長のような気持ちでセックスをしたかった。初めての相手に特にこだわりはない。自分のことをチヤホヤしてくれて、思い切り女の子扱いしてくれて、大切にしてくれるのなら…。
Aの心は決まっていた。
喫茶店を小一時間ほどで切り上げて、いよいよ2人はホテルに向かう。
「いいの?本当に。処女…なんだよね?」
男性からの問いかけに、Aはこくりと頷いた。処女である事にはコンプレックスしかなかったAである。早く経験を積んでしまいたかった。
男性はどこまでも繊細で優しい、なぞるような愛撫をしてくれた。実際、Aは経験がなかったので、愛撫の仕方などはあまり分からなかったという。ただ、芯から熱くなるような感覚を覚えたらしい。
すっかり感じ出したAに、男性が言う。
「僕のアソコは寂しがり屋なんだ。パックンしてくれないかな」
わたしはもはやこのセリフに鳥肌が立ったのだが、Aはツボにハマったらしい。慣れない仕草で一生懸命フェラをしたという。少し吐息が漏れる、その男性の息遣いにも興奮してしまう。
「ほらほらダメだよ。タマタマさんだけ触るとサオさんが拗ねちゃうんだ。触りながら、そう…舐めて」
少しずつ要領を掴んで、男性の反応はもっともっと良くなっていく。Aと男性は熱い夜を過ごした。
最後に
それからAは、何人かと出会い系サイトを通じて体の関係を持ったらしいのだが、官能小説家のようなその男性とは、今もなおセフレ関係を続行中とのこと。
リスキーなゲームではあるが、あなたも女性に『僕の倅が…』なんてメールを贈って、気を惹いてみるのもアリかもしれない。Aのような物好き女子が引っ掛かる事もある。
まぁ、9割方ドン引きされるだろうけど…。
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