ライター夕花みう
「おとなしい子が好きです」
これは大学の友人A(22)の話である。Aはもともと、セックスが好きというわけでもなく、恋愛にもあまり積極的とは言えなかった。美人系の顔立ちではあるものの、どこか自信なさげな伏し目が印象的な女性なのだ。
そんな控えめな彼女と奔放なわたしが、なぜ長年友人を続けているのかと言えば、地元が同じだったからである。
だが、つい先日会ったAはなんだかいきいきとしていて、自信に満ち溢れた印象で、どこか艶っぽくさえあった。
彼氏っていうか、セフレっていうか…なんかそんな人ができて
「え、久しぶり!なんか雰囲気変わったね?」
「そうなの。実は…彼氏っていうか、セフレっていうか…なんかそんな人ができて」
Aの告白は衝撃だった。ずっとセックスにコンプレックスを抱いていた彼女。とてもスレンダーで背が高く、「中性的なイメージを持たれてしまうのが嫌で、ずっと女としての自信が持てなかった」と言っていた。
が、実はこの彼女、とってもエロかった。しかもドMなのだ。隠れてSM雑誌を読んだり、AVを観たり、官能小説を読んでマスターベーションをする、言わば“ムッツリ系女子”なのである。
普段はエロを一ミリも見せないAのカミングアウトにも相当驚いたのだが、まだまだそれは徐の口だったのだ…。
「セフレって言っても、そんな積極的なタイプじゃなかったよね?どこで出会ったの?」
「ネット…それも、出会い系サイトなんだよね」
「ええっ」
出会い系サイトってよく詐欺とかで問題になるアレだろうか。危険なイメージしかないのだが、大丈夫だろうか…。
Aは雑誌やネットでオススメされていた●●というサイトを使ったらしい。実際に覗いてみると、たくさんの女性がエッチな写メを載せたり、男性が相手を募集するために書き込んだりしていた。用途は様々。純粋な出会い目的の男女から、セフレ目的、割り切り目的もいるようだ。
「ちょっと怖くない?よく書き込んだね」
「女性ってだけで需要があるみたいで。男の人はプロフィールを見たり、メールを送信したりするのにも若干お金がかかるの。だからお金持ちの人が多いし、やたらと数を打つような人もいないよ」
Aはそう言いながら、現在セフレ関係を続けているという男性のプロフィールを見せてくれた。
「こんなおじいちゃんですが、柄にもなく」老紳士登場
『おとなしい子が好きです。Mっ気のあるかた、大歓迎。最初はお食事からはじめましょう』
Aは、エロを全面に出さない彼の紳士な印象に惹かれたらしい。しかも、彼女にはもともと調教されたい願望があった。
最初は興味本位でメールを送っていたのだが、やり取りも丁寧な敬語。Aの仕事終わりには労(いたわ)りの言葉を掛けてくれたし、そのうちに『会ってみてもいいかなぁ』という気になった。
彼の年齢は聞いていた。驚くなかれ、60歳である。
「はじめまして」
待ち合わせ場所のカフェに彼が現れた。「老紳士」という言葉がピッタリで、醜い印象は特になかった。歳を重ねてはいるものの、髪はしっかりとセットされており、仕事帰りの背広姿もどことなくオシャレな雰囲気だった。
「Aさんですか?」
「はい」
サイト上での名前を聞かれて、Aはコクリと頷く。
「お綺麗な人だったのでビックリしました」
素直に嬉しいと思った。どちらかというとボーイッシュな印象を持たれることが多く、「綺麗」だとか、「美しい」という言葉には慣れていなかったからだ。おまけに、背もAの方が高かった。
「お会いできてうれしいです。こんなおじいちゃんですが、柄にもなく」
そう言って老紳士がおどけると、2人の間に笑いが生まれる。とても自然な流れで、2人はメールの続きのようなことを話し、その日は会ったばかりで不安だろうと、老紳士は食事だけで別れてくれたのだった。
そんな柔らかい印象の老紳士だったが、次に会ったとき、思いがけない一面を見る事になる。
自作のオモチャで調教、調教、調教
「さぁ、行こうか」
彼が高級外車でAを迎えに来た。なんだか恥ずかしい。視線が集まっている。
老紳士は自分で会社を経営していて、それもかなり上手くいっているらしい。どうりでスーツもオシャレで清潔感があるわけだ。
運転する彼はどことなく若く見えた。そして、2人はラブホに入って行く。
「綺麗だよ」
彼は何度も何度もそう言いながら優しくAを抱いた。経験の深さだろうか。指遣いも舌遣いもひとつひとつが丁寧で、芯まで熱くなるような快感を覚えたという。さすがに老紳士の体は老いており、シミなどが汚く、腹も出っ張っていて、そこだけは不満だったようだが…。
彼は回数を重ねるたびに、過激なプレイもしたがるようになった。最初はソフトなSMで、軽く手足を縛るぐらいのプレイから始め、首輪・手錠とどんどんエスカレートしていった。
今ではムチやローソクなどのハードなプレイに夢中らしい。機械にも詳しい彼は、手作りのオモチャも持参するという。なんだかすごい世界である…。
最後に
そんな御年60の彼は最近、Aのために男性器に真珠を入れたらしい。「いやあ、スゴイですね」としか言いようがない。
とはいえ、ドM気質のわたしには非常にそそられる話である。わたしもそんな風に調教されたいものだ。わたしも出会い系サイト始めようかな…。『調教してください』って。
コメントする(承認制です)